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《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。 スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすら妄想ですが、雷蔵の過去捏造・竹谷の実家設定捏造などがあります。 特に雷蔵の回想部分は、いじめに近い表現があり、人によっては気分を害するかもしれません。 また、それに対する先輩たちのアドバイスがありますが、あくまで個人的な意見ですので、この主張が正しいというわけではありません。
中二病的発言もありますが、それは華麗にスルーしてください。お願いです。 もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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真っ先に突っかかっていったのは、八左ヱ門だった。
竹谷「おい!!お前ら!!
今何話してた!!
こっちをちらちら見てんのは分かってんだぞ!!」
「え…別に。」
「何も見てないけど~。」
竹谷「嘘つけ!!
だったら雷蔵が元気ないのはどう説明する気だ!!
覚えがないとは言わせねぇぞ!!」
「別に、俺たち何もお前らのこと言ってねぇし。」
「そうそう。
別に、雷蔵が元気ないのは俺たちのせいじゃないだろ?
何を根拠に言いがかりつけてんだ?」
同級生たちは、一人は軽蔑するような目を向け、もう一人はにやにやとバカにしたような笑いを浮かべている。
竹谷「なにがおかしいんだよ!!
すぐ不満垂れ流して
臆病者同士でひっつきあって、
挙句、やること言うこと『俺のせいじゃねぇ』だと!?
だったらさっきの悪口はどの口が言ったんだよ!!
言ってみろよ!え?
一人一人!
一人一人だ!
自分で言ってみろよ!
誰かと一緒でないと自分の意見も言えないのか!3年にもなって!!」
三郎「おい、八左ヱ門。もうよせ。
1年生の前だ。」
掴み掛る寸前、三郎が八左ヱ門を止めた。
止められたものの、八左ヱ門は怒りが収まらない目で、目の前の2人を見ている。
そんな八左ヱ門を、同級生たちは、迷惑そうな目で見ている。
そんな2人に、三郎は冷たく言い放った。
三郎「お前らも、こんなこと言われたくなかったら疑われるような行動はしなことだな。
傍から見ても、さっきの行動は陰口言ってるって思われても、不思議じゃないぞ。」
竹谷「お前らみたいな奴、きっとみんなから嫌われるぞ!!
引っ付きあってるお前たちだって、そのうちお互いばらばらになるんだ!!
楽しい時だけしか用がない友達なんて、すぐいなくなる!
お前らが困れば困るだけ、大変なら大変なだけ、そっぽ向かれるんだ!」
ぐっ…。
…と、言われた方は言葉に詰まったようだ。
さずがに、居心地が悪くなったのか、
隣にいた1年ろ組の富松作兵衛に、道具を押し付けた。
さっさとその場を去るつもりだ。
「おい!これ片付けとけよ。お前も用具委員なんだから場所ぐらいわかるだろ?」
しかし、作兵衛はうつむいたまま動かない。
「おい!!聞こえてんのか?」
作兵衛「俺…あんたのこと嫌いです…。」
…!
小さい後輩の、ぽつりと言った言葉。
それは尊敬する先輩に言う言葉ではない。
「は?なんだお前、先輩に向かって!!」
作兵衛「あなたなんか先輩じゃない!!」
きっ!!と、強い瞳で、作兵衛は自分の先輩を睨み付けた。
「なんだとっ!!」
作兵衛「俺の先輩は!!留三郎先輩みたいに、強くて、自分の言ったことはしっかり守る人だ!!
こそこそ悪口言ったり、都合の悪いときに知らん顔する人じゃねぇっ!!」
ばきっ!!
大きな音と共に、作兵衛の小さな体が吹っ飛んだ。
作兵衛の持っていた、道具箱が転がり、
金づちや釘が散らばる。
自分への辛辣な言葉を聞かされた張本人は、
自分より一回りも小さい下級生を、思いっきり殴ったのだ。
竹谷「てめぇ!!何すんだよ!1年生に!!」
殴ることねーだろ!八左ヱ衛門が憤る。
今にも殴りかかりそうな八左ヱ門を、三郎が必死で止める。
倒れこんだ作兵衛に、雷蔵が慌てて駆け寄る。
そして、非難された者たちは…
うるせー、ばーか!!そう吐き捨てて、去って行った。
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《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。 スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
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数日が経った。
先輩に相談したことで、少しは気が楽になったが、
状況は依然として変わらない。
じわじわと水がしみだし、いつのまにか浸水してしまうかのように、
ゆっくりと、しかし確実に、その程度がひどくなっている。
最初は気のせいかと思えるようなコソコソ話も、今ではあからさまに罵倒するようになってきた。
ただし、『誰のことか』特定するような言葉は絶対に言わない。
はっきり主張せず、責められても言い逃れできるような、気分の悪いやり方だ。
雷蔵(…でも、なんとかしなくちゃ。)
授業も終わり、放課後になったが、
なんとなく遊びに行く元気がなく、雷蔵は縁側に腰掛けていた。
今日は日向ぼっこにはよい天気だ。
隣には、三郎が同じ顔をして寝そべっている。
考え事をしている雷蔵を気遣ってか、話しかけはしないが、
ごく自然な感じでそばにいる。
雷蔵(そういえば…最近ずっと僕の顔をしてるな…。)
それでなくとも大抵は雷蔵の顔を借りている三郎だが、
今回の問題が分かってから、ずっと雷蔵の顔をしている。
いたずらもしていない。
そして、いつのまにか寄り添うように、常に自分の横にいる。
これを解決するのは雷蔵自身の心でしかない。
何も言わないが、三郎はそれを分かっている。
だからこそ、雷蔵の心が決まり行動することを信じ、それをひたすら待っていてくれている。
そしてなにより、自分は一人ではないのだ、という安心感を与えてくれている。
また、それが三郎の気遣いなのだと思うと、とてもうれしかった。
…と、そこへ子犬のように走ってくるものがいた。
竹谷「雷蔵っ!!」
八左ヱ門だ。
竹谷「雷蔵!!雷蔵!!なあ、遊び行こうぜ!!
天気もいいんだしさ!外行こうぜ!!外!!
三郎も一緒にさ~!!」
なっ?なっ?と首をかしげながら聞いてくる八左ヱ門。
彼も、早く雷蔵に元気を出してもらいたくて、一生懸命なのだ。
何か言われたり、嫌なことをされれば、きっとそちらを見据え、追い払ってくれる。
時々、強くて意思をはっきり示す八左ヱ門にかばってもらえることに、つい甘えてしまいそうになるが、
それでは解決にならない。
――『その勇気を湧き起こすのは…ほかならぬ自分だ。』
無愛想な先輩の、優しい声が思い出される。
雷蔵(みんな、僕を気遣ってくれている…。
僕が元気でいなきゃ、みんなに心配かけてしまう。)
竹谷「どうする?裏山行ってみるか?
それとも、池で釣りしようか?」
雷蔵「え、うぅ~~ん。どうしよっかなぁ~~~???
裏山…???
池で釣り…???」
…。
しまったという顔をする八左ヱ門。
呆れたように八左ヱ門を見る三郎。
どうやら『悩みスイッチ』が入ってしまったようだ。
竹谷(あちゃぁ~…。)
三郎(あ~あ、今日は縁側で日向ぼっこ決定だな…。)
2人はしょうがないな。と言うように両脇に座って、一生懸命に悩む雷蔵を見つめている。
この2人は、いくら雷蔵が悩んだって気にしない。
3人一緒にいるのが、楽しいのだ。
―――……くすくすくす…
……ひそひそひそ…
雷蔵「ぁ…。」
竹谷「!!!」
三郎「……!」
雷蔵の不安げな目。
八左ヱ門の怒りに満ちた目。
三郎の刺すような冷たい目。
その視線の先には…。
ちょうど通りかかった用具委員たち。
3年生が2人と、1年生が1人。
そして、その3年生の用具委員は…
いつも陰口を言っているグループのメンバーだった。
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《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。 スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
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中二病的発言もありますが、それは華麗にスルーしてください。お願いです。 もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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しとしとしと…
弱い雨が、朝からずっと降り続いている。
いつも静かな図書室には、そんなやわらかい音も静かに響いていた。
長次「雷蔵…。」
雷蔵「…?」
長次「最近…元気がないようだが…何かあったか…?」
どきっとした。
そんなにも顔に出ていたのだろうか?
図書室で、雷蔵に声をかけたのは、4年ろ組の中在家長次。
いつものように返却された本を本棚へ返していた雷蔵は、無愛想な表情に自分の心を見透かされたような気がして、
本を取り落しそうになった。
運よく、図書室内には図書当番の2人しかおらず、しんとしている。
雷蔵「い、いえ…何も…。」
長次「…何もないわけはないだろう?最近の様子は明らかにおかしい…。
何か悩んでいるように見えるが…違うか…?」
雷蔵「…。」
長次「……。」
確かに、三郎の言った通り、嫌がらせはだんだんとひどくなっていた。
こそこそ陰口を言う他に、変なあだ名を知らない間に広める、仲間外れにするなど、
雷蔵が敵意を向けたり相手にしないのをいいことに、じわじわと悪化してきたのだ。
もちろん、三郎や八左ヱ門は味方になってくれるが、
巧妙に、実技の授業で人数的にどのグループにも入れないよう根回しするなど、
最近はどうにもならないケースまで出てきた。
…。
ここで先輩に相談すれば、解決の糸口が見えてくるかもしれない。
だが、なんとなく、先輩に知られるのは恥ずかしかった。
三郎や八左ヱ門に相談に乗ってもらうならいいが…
なぜか先輩に知られるのは、自分の情けない部分を見られるような気がして、
話す気になれない。
雷蔵「………。」
重たい空気がじりじりと押し寄せてくる…。
自分のメンツが、出かかる言葉をねじ込んでいる。
うつむいて下唇を噛みながら、雷蔵は動けなかった。
…。
何も話さない様子から、何か感じたのか、
長次は仕方ないというように、ゆっくりと話し始めた。
長次「…本当はな、鉢屋から相談があったのだ。
『雷蔵の元気がないので、相談に乗って下さい』とな。
もちろん、詳しい話は聞いていないが…
雷蔵は自分で解決しようとしているし、
自分たちでは力になれないときもあって、どうしたらいいのか悩んでいる。
もし雷蔵から私に相談するようなことがあったら、話を聞いてやってくれということだった…。
だからここ最近…ずっと…お前から話があるかと思って注意して見てきたのだが…
話をしてくれるようなそぶりはないし、
かといって、日に日に元気がなくなっていくようでな…。
心配だったので、こちらから話を切り出させてもらった…。
本当に何もないと言っていいのか?
解決したいことがあるのではないか?
虚勢を張ることより、ここで苦しみを乗り越えることのほうが重要ではないのか?」
雷蔵「…………。
…………うっ…ぐっ…うぅぅ……。」
なぜか、涙が出てきた。
今まで、こそこそ陰口を言われて気分の悪い思いをしても、
仲間はずれにされたときにも、
出てこなかった涙が、
ぼろぼろとこぼれてきた。
今までの我慢が堰を切ったように、ぼろぼろと涙を流し、しゃくりあげる。
そんな雷蔵を落ち着かせるかのように、長次はその肩にそっと手を置いた。
雨の降り続ける、図書室前の渡り廊下。
図書室の入口には、いつの間にか札がかかっていた。
『書庫整理中・立ち入り禁止』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そのあと、何をどう話したのか。
雷蔵はよく覚えていない。
今までため込んだ感情や、涙が、言葉が、
ぼろぼろ、ぼろぼろ
ただこぼれていった。
一通り話し終え、雷蔵が落ち着いた後、
静かな声が聞こえた。
長次「……よく、我慢したな。
お前は、強い…。」
意外な言葉を言われ、雷蔵は目を丸くした。
雷蔵「??
強い?僕が?」
長次は無言でうなずき、静かに言葉を続けた。
長次「雷蔵は…優しい。だからこそ、相手のことを思うあまり我慢してしまうのだ。
我慢など、なかなかできるものではない。それだけ雷蔵は強い。
逆にコソコソ陰口を言っている奴は弱い。だからそんなことをするのだろう。
自分が弱いことを本能的に知っていて、なおかつそれを周りに知られたくないからこそ、
同じもの同士で集まって、身を寄せ合っているのだ。
特に、何かバカにしたり、見下したりできると判断した対象があれば、
自分の立場を守るために必死になって陰口を言い合う。
本来なら、努力し、自分を高めることでその弱さを解消するものだ。
しかし、それすら失敗を恐れて力を尽くすことがない。
そんなことでは、自分の弱さに目を向けることすらできないのだがな…。
それすら分かっていないのだ。
…その点、お前は強い。それは、自信を持っていい。」
雷蔵「でも…僕、ものすごく迷うんです。
それで、何をするにも時間がかかっちゃって…。
みんなで何かする課題だと、僕のせいで遅くなったりして、みんなに迷惑かけちゃうんです。
僕、それが原因の一つじゃないかと思ってて…。」
長次「それは違う…。
雷蔵の迷い癖の原因は…『責任感』だ。
間違っちゃいけない、正しい選択をしなきゃと、一生懸命考えるから迷うのだ…。
確かに、周りの人間を巻き込むのは困るが…。
迷うのも相手を思ってのことだ。悪い心ではない。今から改善すればいいことだ。
それにだ、欠点を責めるばかりか、侮辱するというのは、良い仲間ではない。
良い仲間であれば、お互いの欠点をフォローし、良いところを高めあうものだ。
お互いを認め、好意をつくし、それを喜びとするのが人間らしい関係だ。
そんな人間らしい関係を築けない者たちに、他人の欠点をどうこう言う資格はない。
ただの思い上がりだ。」
雷蔵「…。」
長次「もう一度言うがな…お前は強い。そして優しい。
だから、お前の心は正しいと、私はそう思っている。
ただ、良いことを良いこととし、悪いことを悪いことだと判断するのは
お前自身の心だ。
そして、その意見を周りに示すには、勇気がいる。
その勇気を湧き起こすのは…ほかならぬ自分だ。
…。
お前には、正しいと信じてくれる友がいる。
お前が自分で決定した行動が、悪意のあるものでない限り、信じる気持ちは変わらない。
だから、何も心配することはない。
…もちろん、私も雷蔵を信じている。」
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《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。 スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすら妄想ですが、雷蔵の過去捏造・竹谷の実家設定捏造などがあります。 特に雷蔵の回想部分は、いじめに近い表現があり、人によっては気分を害するかもしれません。 また、それに対する先輩たちのアドバイスがありますが、あくまで個人的な意見ですので、この主張が正しいというわけではありません。
中二病的発言もありますが、それは華麗にスルーしてください。お願いです。 もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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……くすくすくす…
……ひそひそひそ…
まただ。
3年ろ組、教室前の廊下
クラスメイトが3,4人固まって、何か話している。
教室の窓側にいる雷蔵に、その内容は聞こえないが、
時々自分の方をちらちらと見てはバカにしたような笑いをしている。
まただ…。
いつからかはっきりとは分からないが、最近あのグループは何か自分の陰口を言っているようだ。
雷蔵は心底うんざりした。
大体、あのグループの奴とはあまり話したこともない。
クラスメイトではあるが、入学以来、特別仲がいいということもなく、
3年生に進級した今では、ほとんど会話らしい会話もしたことがなかった。
雷蔵(喧嘩したわけでもないし、僕の方は嫌いだとかそんなこと思ってないのに…。
あの子たちの邪魔をしたわけでも、イタズラしたこともない…。
どうして、なんとなく嫌な気持ちにさせるようなことをするんだろう…?)
『迷う』…から?
思い当たることといえば、自分の『迷い癖』くらいだ。
雷蔵は何を決めるのにも迷う。
毎食のメニュー
風呂の順番
手裏剣の投げ方
生活に関するものから毎日の授業まで、雷蔵が悩まず決められたことは少ない。
悩む分、時間もかかり、もたもたする。
チームで行う課題などでは、しばしば悩んで、同じチームの同級生に呆れられたりしたこともある。
1,2年生の頃はまだ先生たちもフォローしてくれたが、さすがに3年にもなると、注意されることが多くなった。
おそらくそこが、『とろい奴』とみられ、バカにされているのだろう。
…と、そう考えるが、あくまで雷蔵の推測だ。
コソコソ話している。にやにやとした笑いを浮かべながら、ちらちらこちらを見る。
これだけだ。
相手の行動は。
なんとなくは自分のことかと感じるが、
決定的に「自分の悪口を言われている」という証拠のようなものはない。
まだ11年と数か月しか生きていない雷蔵には、
どうしてそうなったのか、本当に自分の悪口なのか、どうやって解決すればいいのか、
なにも良い考えが思いつかなかった。
と、自分とそのグループの直線上に、ぬっと入り込んだものがいた。
竹谷八左ヱ門だ。
名前の通り、竹を割ったような性格のクラスメイトは、
悪口を言っているであろう同級生たちを、キッと見据え視線を逸らさない。
八左ヱ門の視線に居心地が悪くなったのか、見据えられた同級生たちはこそこそと去って行った。
竹谷「なんだよ、気分悪い奴らだな。
言いたいことがあったら、はっきり言えよ。
雷蔵もさ、嫌だと思ったら直接何か言ってやりゃいいんじゃないか?」
雷蔵「…一度、『何か僕に言いたいことでもあるの!?』って聞いてみたんだけど、
『いや別に~』なんて言ってそそくさといなくなって…。
確証はないし、曖昧な分、なかなか責める要素がなくて…。」
竹谷「う~ん…めんどくさい奴らだなぁ~。
俺そういうやつ苦手だよ。
大体、そういう奴と何かあるとさ、俺の方が頭にきて、先に手出しちゃうんだよな。
そんで『八左ヱ門の方から、喧嘩売ってきた』なんて先生に言われて、俺が怒られるんだよな~。」
雷蔵「そうだよね…ああいう子たちは、なぜかそういうことをうまく乗り切るような、
コツみたいなのを見る目があるというか…。巧妙なんだよね…。」
竹谷「卑怯なだけだと思うぜ!!
だって、先生や先輩たちの前ではへこへこして、いい顔してるじゃないか!
俺、そんな奴嫌いだ。仲良くなんかするもんか!」
雷蔵「八左ヱ門…でもあの子たちだって同じろ組の忍たまなんだよ?
嫌だって言っても、これからもずっと一緒に勉強するんだし…。
来年には協力して忍務をこなさなきゃならないんだよ?
いろいろ好き嫌いはあっても、相手を全部嫌だなんていったら、いけないんじゃないかなぁ?」
竹谷「う~ん…そりゃあ、そうだけどさ…。」
三郎「でも、今の状態のままでいいってわけでもないだろう?」
いつのまにか、八左ヱ門の反対側に、自分と同じ顔がいた。
鉢屋三郎だ。
三郎「証拠がないとか、曖昧だとかはっきりしないにせよ、解決しなきゃあいけないことは確かだ。
このままじゃ、だんだんとひどくなるぞ!
特にああいう手合いの奴は、こちらが相手にしないとわかると、
何をやってもいいと勘違いしてナメてかかってくるからな。
それに、私のみたところじゃ、
『はっきり不満を言わない、聞いても知らんぷり、
自分たちからは解決しようと働きかける行動もない。』
しかも雷蔵には、嫌われるようなことは思い当たらないんだろう?
一方的な悪意じゃないか!!
いくら同じクラスの仲間だって言ったって、許して良いことと悪いことがあるんじゃないか?」
雷蔵「そうはいっても…僕にも原因があることも考えられるんじゃないかな…。
僕の『悩み癖』で、課題が終わるのが遅くなってみんなに迷惑かけたりすることもあったし…。
もしかしたら、その積み重ねもあるんじゃないかなぁ…。」
三郎「雷蔵…私は迷惑だなんて思ってないぞ。」
竹谷「俺もだ!!」
雷蔵「でも…人の考えはそれぞれだから…みんながみんなそう思うわけじゃないよ…。
とりあえず、様子を見てみるさ…。
ごめんね二人とも。心配してくれてありがとう。」
だがそうは言ったものの…
雷蔵自身もこの判断が正しいのか、正直わからなかった。
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《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。 スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすら妄想ですが、雷蔵の過去捏造・竹谷の実家設定捏造などがあります。 特に雷蔵の回想部分は、いじめに近い表現があり、人によっては気分を害するかもしれません。 また、それに対する先輩たちのアドバイスがありますが、あくまで個人的な意見ですので、この主張が正しいというわけではありません。
中二病的発言もありますが、それは華麗にスルーしてください。お願いです。 もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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ロダンの『考える人』
世界的に有名な芸術作品だ。
地獄の中を覗き込み、苦悩している
そんな姿を表現した傑作である。
そんな美術史に残る傑作が、
本日、
この忍術学園の、
日当たりのいい廊下で、発見された。
竹谷「あ~困った…。」
有名なブロンズ像と化していたのは、5年生の竹谷八左ヱ門。
『考える人』と同じポーズをし、何やら難しい顔で悩んでいる。
と、そこに近づいてくる紺色の制服。
ふわふわした髪を揺らし、手には何冊かの本。
同じ五年ろ組の不破雷蔵だ。
雷蔵「どうしたの、八左ヱ門?
また『脱走』でもしたの??ハダカデバネズミとか??」
竹谷「そんな珍しい生き物飼ってねぇよ!!
…いやさ~、進路希望表出せって木下先生にせっつかれてんだけど…
なかなか思いつかなくてさ~。」
八左ヱ門の手には、真っ白な「進路希望調査表」。
どうやら今日の彼は、委員会や後輩の飼っている生き物のことではなく、
自分の進路について、真剣に悩んでいるようだ。
雷蔵「進路?
八左ヱ門、下級生の頃から『俺は忍者になる!!』って言ってたじゃないか。」
竹谷「いや…まあそうなんだけどさ…。
昔はまだガキだったからさ、『なんか忍者ってカッコイイ!!』ってな考えでもの言ってたんだけど…。
最近真面目に考えたらさ、俺やってけるのかなぁ~って…。」
雷蔵「まあねぇ…。でも八左ヱ門、大体のことはできるじゃないか。
実技だって、教科だって。まんべんなく平均点以上はとれるだろう?
委員会活動も、6年生がいない中、予算をちゃんとやりくりしてるし、後輩ともうまくやってるじゃないか。
誰にも好かれて、頼られるなんて、そうそうできることじゃないよ。」
竹谷「いや、なんとなく平均点っていうのが一番問題なんだよ。
どれもこれも、ものすごく良くはないけど、ものすごく悪くもないから、
何に向いてるか、はっきりしないんだよな~。」
雷蔵「実家の仕事をするっていう選択肢は?考えたことない??
八左ヱ門の実家、武家じゃないか。」
竹谷「いや、そうなんだけど…俺、長男じゃないしな。
兄弟も多いから、むしろ独立しろって言われそうだよ。」
雷蔵「まあ、忍術学園に入ったからって、必ずしも忍者にならなきゃいけないわけでもないし。
実家のことだって、これからどう変わるかわからないじゃない。
あと一年あるんだから、ゆっくり考えたっていいんじゃないかな?」
竹谷「雷蔵~そんなこと言わずに一緒に悩んでくれよ~!!
ちなみに進路希望表の提出期限は明日なんだ!!
『木下ゲンコツ』なんて食らいたくねぇよ~!!
ヘルプ、雷蔵!!悩める俺を!!」
涙目で雷蔵にすがりつく八左ヱ門。
と、そこへ間髪入れず飛んでくるものが。
ひゅん!!
竹谷「うぉあっ!!
…って、ひょう刀じゃねーか!!
おい!三郎!!」
見れば、いつの間にか反対側に同じ顔。
同じ五年ろ組の鉢屋三郎が立っている。
三郎「…八左ヱ門。雷蔵に難問を吹っ掛けるんじゃない…。
お前だって、雷蔵の悩み癖はよく知ってるだろう?
三日三晩悩んだ挙句、おおざっぱに『やっぱ忍者でいいんじゃない?』と返されたら、どうするつもりだ!!
悩んでいる雷蔵を見ながらも…力になれない自分の無力さに苦しんだ挙句、
あっけらかんとした答えを出された時の、思わず膝をつかずにいられないあのがっくり感!!
結構な精神的ダメージだぞ!?あれは!!
そう、だからこそ!!
雷蔵を悩ますものは誰であろうと許さん!!」
竹谷「別に雷蔵を悩ませたいわけじゃねーよ!!
というか、雷蔵はちゃんと考えてくれるから相談したんだよ!!
ちょっと時間はかかるが、間違ったことは絶対言わないだろ?
どっかの誰かさんみたいに、嘘八百だったり、丸投げするようなこと言わないしな。」
三郎「だからと言って!!
自分の考えもはっきりしないのに、真面目に考えてくれる奴に問題を丸投げするな!!
それから!どさくさに紛れて引っ付くな!!せめて泥落としてからにしろ!!
雷蔵の制服は昨日洗濯したばっかりなんだ!替えがないんだぞ!!」
お前は母ちゃんか、三郎。
そう思いつつ、反撃する八左ヱ門。
竹谷「んだからって、ひょう刀はないだろ!!
マジで殺す気かっ!お前は!!」
三郎「ちなみに雷蔵に引っ付いていいのは、下級生と私だけだ!!」
竹谷「下級生と一緒かよ!!お前は!!
というかお前、あれか?最近よく聞く…。」
三郎「『グレーゾーン』ってやつか?」
竹谷「そうそう!それそれ!」
三郎「八左ヱ門!!私は誓って言える!!
私は『グレーゾーン』なんかじゃない!!『真っ黒』だ!!」
竹谷「なお悪いわぁぁぁ!!!」
ぎゃあぎゃあと騒がしく言い合う同級生。
そんな2人を見ながら、雷蔵はふと昔を思い出していた。
『悩み癖』という、忍者としては大きな欠点を、2人はカバーしてくれたこと。
自分の個性に2人はずっと理解を示してくれていること。
そして、自分のことを、信じて、支えてくれたこと。
雷蔵(誰しも、お互いの個性を認め合える奴だとは…限らないからな…。)
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