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2025/01/09

【5のろの奇妙なRKRN その3】

《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。 スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすら妄想ですが、雷蔵の過去捏造・竹谷の実家設定捏造などがあります。 特に雷蔵の回想部分は、いじめに近い表現があり、人によっては気分を害するかもしれません。 また、それに対する先輩たちのアドバイスがありますが、あくまで個人的な意見ですので、この主張が正しいというわけではありません。
中二病的発言もありますが、それは華麗にスルーしてください。お願いです。 もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》

=============================================


しとしとしと…

弱い雨が、朝からずっと降り続いている。
いつも静かな図書室には、そんなやわらかい音も静かに響いていた。


長次「雷蔵…。」

雷蔵「…?」

長次「最近…元気がないようだが…何かあったか…?」


どきっとした。
そんなにも顔に出ていたのだろうか?

図書室で、雷蔵に声をかけたのは、4年ろ組の中在家長次。
いつものように返却された本を本棚へ返していた雷蔵は、無愛想な表情に自分の心を見透かされたような気がして、
本を取り落しそうになった。
運よく、図書室内には図書当番の2人しかおらず、しんとしている。


雷蔵「い、いえ…何も…。」

長次「…何もないわけはないだろう?最近の様子は明らかにおかしい…。
   何か悩んでいるように見えるが…違うか…?」

雷蔵「…。」

長次「……。」

確かに、三郎の言った通り、嫌がらせはだんだんとひどくなっていた。
こそこそ陰口を言う他に、変なあだ名を知らない間に広める、仲間外れにするなど、
雷蔵が敵意を向けたり相手にしないのをいいことに、じわじわと悪化してきたのだ。
もちろん、三郎や八左ヱ門は味方になってくれるが、
巧妙に、実技の授業で人数的にどのグループにも入れないよう根回しするなど、
最近はどうにもならないケースまで出てきた。


…。


ここで先輩に相談すれば、解決の糸口が見えてくるかもしれない。
だが、なんとなく、先輩に知られるのは恥ずかしかった。
三郎や八左ヱ門に相談に乗ってもらうならいいが…
なぜか先輩に知られるのは、自分の情けない部分を見られるような気がして、
話す気になれない。

雷蔵「………。」

重たい空気がじりじりと押し寄せてくる…。
自分のメンツが、出かかる言葉をねじ込んでいる。
うつむいて下唇を噛みながら、雷蔵は動けなかった。

…。

何も話さない様子から、何か感じたのか、
長次は仕方ないというように、ゆっくりと話し始めた。

長次「…本当はな、鉢屋から相談があったのだ。
   『雷蔵の元気がないので、相談に乗って下さい』とな。

   もちろん、詳しい話は聞いていないが…
   雷蔵は自分で解決しようとしているし、
   自分たちでは力になれないときもあって、どうしたらいいのか悩んでいる。
   もし雷蔵から私に相談するようなことがあったら、話を聞いてやってくれということだった…。

   だからここ最近…ずっと…お前から話があるかと思って注意して見てきたのだが…
   話をしてくれるようなそぶりはないし、
   かといって、日に日に元気がなくなっていくようでな…。
   心配だったので、こちらから話を切り出させてもらった…。

   本当に何もないと言っていいのか?
   解決したいことがあるのではないか?
   虚勢を張ることより、ここで苦しみを乗り越えることのほうが重要ではないのか?」


雷蔵「…………。

   …………うっ…ぐっ…うぅぅ……。」



なぜか、涙が出てきた。

今まで、こそこそ陰口を言われて気分の悪い思いをしても、
仲間はずれにされたときにも、
出てこなかった涙が、

ぼろぼろとこぼれてきた。


今までの我慢が堰を切ったように、ぼろぼろと涙を流し、しゃくりあげる。
そんな雷蔵を落ち着かせるかのように、長次はその肩にそっと手を置いた。



雨の降り続ける、図書室前の渡り廊下。
図書室の入口には、いつの間にか札がかかっていた。

『書庫整理中・立ち入り禁止』





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


そのあと、何をどう話したのか。
雷蔵はよく覚えていない。

今までため込んだ感情や、涙が、言葉が、
ぼろぼろ、ぼろぼろ
ただこぼれていった。

一通り話し終え、雷蔵が落ち着いた後、
静かな声が聞こえた。


長次「……よく、我慢したな。
   お前は、強い…。」

意外な言葉を言われ、雷蔵は目を丸くした。

雷蔵「??
   強い?僕が?」

長次は無言でうなずき、静かに言葉を続けた。

長次「雷蔵は…優しい。だからこそ、相手のことを思うあまり我慢してしまうのだ。
   我慢など、なかなかできるものではない。それだけ雷蔵は強い。

   逆にコソコソ陰口を言っている奴は弱い。だからそんなことをするのだろう。
   自分が弱いことを本能的に知っていて、なおかつそれを周りに知られたくないからこそ、
   同じもの同士で集まって、身を寄せ合っているのだ。
   
   特に、何かバカにしたり、見下したりできると判断した対象があれば、
   自分の立場を守るために必死になって陰口を言い合う。

   本来なら、努力し、自分を高めることでその弱さを解消するものだ。
   しかし、それすら失敗を恐れて力を尽くすことがない。
   そんなことでは、自分の弱さに目を向けることすらできないのだがな…。
   それすら分かっていないのだ。


   …その点、お前は強い。それは、自信を持っていい。」


雷蔵「でも…僕、ものすごく迷うんです。
   それで、何をするにも時間がかかっちゃって…。
   みんなで何かする課題だと、僕のせいで遅くなったりして、みんなに迷惑かけちゃうんです。
   僕、それが原因の一つじゃないかと思ってて…。」


長次「それは違う…。

   雷蔵の迷い癖の原因は…『責任感』だ。
   間違っちゃいけない、正しい選択をしなきゃと、一生懸命考えるから迷うのだ…。
   確かに、周りの人間を巻き込むのは困るが…。
   迷うのも相手を思ってのことだ。悪い心ではない。今から改善すればいいことだ。

   それにだ、欠点を責めるばかりか、侮辱するというのは、良い仲間ではない。
   良い仲間であれば、お互いの欠点をフォローし、良いところを高めあうものだ。
   お互いを認め、好意をつくし、それを喜びとするのが人間らしい関係だ。

   そんな人間らしい関係を築けない者たちに、他人の欠点をどうこう言う資格はない。
   ただの思い上がりだ。」

雷蔵「…。」

長次「もう一度言うがな…お前は強い。そして優しい。
   だから、お前の心は正しいと、私はそう思っている。

   ただ、良いことを良いこととし、悪いことを悪いことだと判断するのは
   お前自身の心だ。
   そして、その意見を周りに示すには、勇気がいる。
   その勇気を湧き起こすのは…ほかならぬ自分だ。

   …。

   お前には、正しいと信じてくれる友がいる。
   お前が自分で決定した行動が、悪意のあるものでない限り、信じる気持ちは変わらない。
   だから、何も心配することはない。

   …もちろん、私も雷蔵を信じている。」 



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2012/10/14 ♪忍たま小説♪ Comment(0)

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