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2025/01/09

【六いの奇妙なRKRN その3】

《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。
スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすらおバカですが、先代作法委員長やらオリキャラやら、仙蔵と文次郎のシリアス過去捏造などがあります。
ご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》


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満月の、いい晩だった。

月見にはいいだろうが、忍務にはとても向かない。
月光から隠れるように、濃紺の影が2つ、ちらちら動く。

仙蔵「適当にその辺を撹乱して、守備を手薄にすればいいんだな。」

文次郎「あぁ、あとは先輩たちが大いに引っ掻き回してくれる。
    俺たちはその手伝いだ。」

仙蔵と文次郎は、ある砦が見えるところで待機していた。
この砦の主は、近々隣の領地へ戦を仕掛けるとの噂がある。
…いや、噂というより仙蔵たちの調べでもう確実に戦を仕掛けることが分かっている。

しかしここ近年、この2つの領地に目立ったトラブルはない。
飢饉や一揆も起きてはいない。
これだけ見れば、一方的な侵略戦争だ。

5年生の2人は諜報を主に担当し、その目的を探ることとなった。が、一向にその本質が見えてこない。
その間にも、戦の準備は着々と進んでいる。
仕方なく、学園長は砦内にある武器や火薬などを使用不可能にし、一時的に開戦を遅らせる判断を下した。
2人の役目は、砦内の守備を手薄にし、あとからくる上級生が武器庫や火薬庫を破壊しやすいよう手引きすることだった。

仙蔵「しかし…本当によく似てるな…文次郎が2人いるようで暑苦しくてたまらん…。」

文次郎の背後には、『コウニン・カイケイシ』が100キロそろばんを持って「ギンギン」言いながら待機している。
目の下の隈も本体よりひどいものだから、見るからにうっとおしい。


文次郎「やかましい。大体、ひとのスタンドに文句垂れる前に、自分のスタンドは使いこなせるようになったのか?
    お前のところの委員長も『あれってなんの役に立つの?』なんて言ってたんだぞ?」

仙蔵「大きなお世話だ。私のスタンドはつい先日、やっと自分の意志で発動できるようになったばかりなのだ。
   他の奴のように、出している状態と出していない状態がはっきりと分かればこんな苦労はないが…。
   自分の髪の毛として常に目に見えている分、いつ発動しているのか分かりにくいのだ。

文次郎「まあ、使ってみないことにはなかなか分からんからな…。
    今回使うことはないだろうが…油断はするなよ。」

仙蔵「それは、承知の上だ。」

顔をかくし、気を引き締める。

仙蔵「では、そろそろ行くか…。」
文次郎「おう…。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


砦内に忍び込んだはいいが…違和感がある。
明らかに守りが薄いのだ。

仙蔵(…どうにもおかしい…。これは引いた方がいいな…。)

その瞬間、後頭部に激痛が走った。


「…動くな。」

仙蔵(…!!)


…。


後ろ手に縛られたまま、どこかに連れて行かれる。
かろうじて意識は失わなかったものの、頭がぼんやりとして働かない。
おそらく、この砦の主要な人物のもとへ連れて行かれるのだろう。
そこで自分の運命も決定する。

連行される間、砦内にいる人々からの視線が否応なく注がれる。

…しかし不思議なことに、自分に向けられる視線に敵意はあっても、軽蔑や嘲りといったものは感じられない。
捕虜となれば大抵、そのような目で見られるのが普通だ。
危害を加える様子もなければ、嘲笑や罵倒の類も一切ない。

目の前を行き交う人々も、規律をしっかりと守っているようで、見えない団結力のようなものが感じられる。
この人々の文化レベルが高いのか、精神的に豊かである証拠だ。

仙蔵(なぜ、このような人々がわざわざ他国の領域に侵略などするのだ?)

実際、この国が困窮しているという情報はない。
むしろなぜ、物資を大量に消耗する戦を仕掛けなければならないのだ?


家紋が入った陣幕の前で待たされる。
おそらくこの中に砦の主がいるのだろう。
入れと言われ、突き出されるように中に入る。

そこには、初老の、とはいっても衰えてなど微塵もいない男性がどっしりと構えていた。
底の見えない沼のような、静かな目が、仙蔵を見据えていた。
…どこかで見たような人だ。こんなに威圧的な態度ではないが、似たような雰囲気を仙蔵は知っている。


砦の主「忍術学園の者か?
    介入してくるとは、思っていたが…。」

仙蔵「…。」

砦の主「答えんか…まあそうだろうな。
    だんまりを決め込まれても、こちらも時間の無駄なのでな。
    一方的にこちらから要求させてもらうぞ。

    
    要求とは、忍術学園はこの件から手を引いてほしいということだ。
    これは私たち里の者と、隣国との問題だ。
    出来れば、誰にも介入してもらいたくはない。
    この要求さえ守ってもらえれば、こちらも学園に危害は加えない。
    そもそも無関係の地域の問題に、何も首を突っ込んで損害を被る必要はないのではないか?

    …仲間と一緒に来ているだろう?
    お主が人質になり、仲間が忍術学園に我らの要求を伝えよ。
    学園が要求を呑んでくれれば、お主に危害は加えん。約束は守る。
    …が、要求が通らない場合、お主の命も学園の平和もないと思え。」

仙蔵「……確かに、知らぬ顔をすれば学園には何も損害はありません。
   しかし、なぜ戦を始めるのか、戦の原因がわからねば学園側としては納得できません。
   学園長は、無益な争いをして、両国の情勢が不安定になることを懸念しています。
   情勢が不安定になれば、必ずどこかにひずみが出、諸国の均衡が崩れます。
   身の丈に合わない野望を持つものも出てくることでしょう。
   そうなれば、さらに無益な争いを招きます。その結果は、際限ない乱世です。」

砦の主「確かに、無益な争いかもしれんな…そういった意見もある。
    しかし、私たちにも意見と立場があるのだよ。

    隣の領地の西の部分…少し風土や風習が違う地域があるだろう?
    あれが我が祖先のゆかりの地なのだ。
    何代か前の隣の領主に一方的に攻め込まれ、今の土地に追いやられてから、
    私たち里の者は一日足りとて故郷のことを思わない日などない。
    今は平和的な協定が結ばれているというが、それで私たちの気が済むと思うか?

    私たちはすべてをあの土地においてきた。
    今まで何百年と営々と積み上げ、作り上げてきたものを一瞬で奪われたのだ。
    自分たちの暮らしも、土地も、先祖の墓も、一族の絆も。


    …何を百年以上も前のことを…と思うか?
    確かに、第三者から見れば、昔の遺物にすがっているように見えるかもしれん。
    滑稽にすら見えるかもしれん。
    だがな、あれが私たち里の者の誇りと歴史なのだ。心の支えなのだ。
    たとえ何百年、何千年たとうとも、その精神だけは、私たちは忘れてはならんのだ。」

仙蔵「それこそ…無益な戦いではないのですか!
   何代も前の恨みのために資源を使い、さらに恨みを積もらせるつもりですか!!
   そのように大切な誇りと精神なら、今を生きる者たちのためになぜ使わないのです!!」

砦の主「お主はまだ若すぎる…理想を信じていられるからこその意見じゃ。まだわからんだろう。
    世間でいう理想や正義など語っているのは、伝え聞いたことをそのまま言っているような上っ面の輩ばかりだ。
    確かに間違ったことは言っておらん…が、そんな浅知恵だけで善悪を決めることはできん。

    私たちにとっては、先祖から受け継ぎ、積み上げた暮らしと、一族への思いが、人生を生きる上での規範だったのだ!!
    それを奪われ、あげく第三者に、そのようなことよりも未来のために生きよと言われても納得などできん!!


    ……。
    …賢明な大川殿なら分かってくださるとは思うがな…。
    もし断るというのであれば、悪いがこちらにも考えがある。」


戦の理由はわかった…。
しかし、同情するわけにはいかない。あくまで学園側は開戦には否定的なのだ。
彼らの一族への思いより、未来の戦乱を止めることの方が仙蔵にとっても重要だった。

と言って、ここで真っ向から反論するわけにはいかない。
命乞いするわけにもいかない。
ここで心が弱れば、隙が出れば、自分が殺される。
…いや、殺されるならまだいい。人質に取られ、自害もできなくなればただの足手まといだ。

そして、一緒に忍務についている文次郎、ひいては忍術学園全体に火の粉が降りかかるだろう。
それだけは、どうしても阻止しなければ!!


砦の主「…答えはこの場で、今すぐ、だ。
    まさか逃げ出そうという考えもなかろう?
    お前の武器はすべて奪い取ってある。
    よもや予備の武器などもないだろう。」

仙蔵「……。」

砦の主「さあ、決断せよ。」

仙蔵「予備がないのは私ではない…お前たちの方だ…。」

次の瞬間、黒髪が舞った。
仙蔵の髪が、スタンドと化す。

何が起こるか、自分でもわからない。
だが、ここでやらなければ!!

仙蔵「舞えっ!!『サホー・サラスト』!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


…一瞬のうちに勝負はついた。

というより、これは勝負というのだろうか?
敗者の姿がない。


仙蔵(なんだこれは?)


仙蔵を中心に、半径5メートル。根こそぎ何もなくなっている。
そして、当たりは一面、炎だ。

何が起こったのか…分からない…。
いや、分かりたくないと拒否している。


自分が殺されていたかもしれない恐怖感より、今自分がしたことへの恐怖感が勝った。


そんな仙蔵を責めるかのように、
炎の津波が襲ってくる。



逃げられない!





…いや、逃げたいのだ
…この状況から
…罪悪感から




―― 死ねば、償えるのか?



>>NEXT

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2012/01/20 ♪忍たま小説♪ Trackback() Comment(0)

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