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2025/01/08

【5のろの奇妙なRKRN その14】

《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。 スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすら妄想ですが、雷蔵の過去捏造・竹谷の実家設定捏造などがあります。 特に雷蔵の回想部分は、いじめに近い表現があり、人によっては気分を害するかもしれません。 また、それに対する先輩たちのアドバイスがありますが、あくまで個人的な意見ですので、この主張が正しいというわけではありません。
中二病的発言もありますが、それは華麗にスルーしてください。お願いです。 もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
=============================================

三郎「…結構買い込んだなぁ…。中在家先輩に怒られないか?」

思ったより大きな荷物を持った雷蔵を、呆れたように三郎が見つめる。

雷蔵「そんなことないよ。蔵書用の紙はいくらあっても足りないからね。
   古い本はどんどん写本して行かないと、虫が食ってわかんなくなっちゃうから。
   それに、保管や管理の予算は学園長先生が別口にしてくれてるし。
   なにしろ、知識や文献を残しておきたいと思ってるのは、他ならぬ学園町先生だしね。」

三郎「ふ~ん…。
   いつもは『おやつ買ってこい』だの『突然の思いつき』だの、とぼけた爺さんしてるけど…
   喰えないよな~。なんだかんだ言って、とんでもなくすごい人なんだからさ。」

雷蔵「そりゃそうだよ。往年の天才忍者なんだからさ。」

笑いながら、帰り道をゆく。
1年生の3人組は、来た時と同じように元気に歌いながら歩いている。
のどかな夕暮れが近づいていた。

…ふと、その穏やかな空気を濁す気配が感じられた。

同じ顔が、同時に振り向いた先には…
だらしなく、着物を着崩した浮浪人がいた。

一見して、怠惰な毎日を過ごしていると分かるような、酒太りした体と土気色の顔。
だが、その顔にどこか見覚えがある。

「よぉ…久しぶりだなぁ。買い物の帰りかい?」

間違いない…



――お前みたいなとろい奴、他の奴にムカつかれてると自分で思わねえのか?
  特に三郎なんか頭いいんだから、一応学級委員だからってお前と仲良くなんかしてても、腹ん中じゃどう思ってるかわかんないぜ

――三郎はお前なんかと違う!!
   お前に何が言える!!



  あの時の同級生だ。

  あの後、こいつだけは先生に怒られても一人だけふてくされていた。
  結局謝るわけでもなく、バツが悪そうに僕や三郎たちを避け、
  いつの間にか話すこともなくなった…。

  いつ学園を辞めたのか…確か怠け癖がたたって進級試験に合格できず、
  そのまま去ったはずだ。――

その後、彼がどう歩んできたのかはわからないが、
ろくな時間の過ごし方ではないようだ…。
不健康な見た目もそうだが、だるそうなふてぶてしい態度から、
あのふてくされた子供のまま、図体だけぶよぶよと膨らんだようだ。

――嫌な感じがする。

殺気ではないが、ねばねばしたような気味の悪さがある。
再会したという点では同じだが、紙屋の同級生とは全く違う。
ただ、懐かしさから声をかけたわけではないことはよく分かる。
なにがしたいのか分からない。2人とも黙って相手の出方を見ていた。

雷蔵「…。」
三郎「…。」

2人の向ける視線も気にするわけでもなく、相手は
にやにや笑いながらこう切り出した。

「2人とも就職は決まったか?
 決まった時には俺にも連絡先教えてくれよ。」

雷蔵「…は?」
三郎「なんでだよ。」

思いがけない問いに、気が抜ける雷蔵。
すかさず三郎がきつい声で答える。

「いや、同じ職場になるかもしれないしな…それに同じ忍者なら同業者だし、何かと付き合いもあるかもしれないし…。

三郎「無いな。」
雷蔵「無いね…。」

歯切れの悪い話を、2人分の冷たい否定の言葉でバッサリと断ち切られた。
当たり前だ、忍術学園すら卒業できなかった者がプロの忍者になれるわけがない。
いたとしても相当な才能と努力を積んだ者だ。
ましてや、目の前にいる浮浪者では話にならない。

はっきり否定され、気分を害したのか、
相手はいらいらとした口調で話し出した。

「いいじゃねぇか!学園に残っている分、お前たちの方がいい職につける可能性が高いんだからさ、
 ちゃんと学園にいられるんだから、お前たちの方が恵まれてるだろ?
 こっちは退学させられるわ、働けば客や番頭にあれこれ言われるわ、それで頭にきて辞めて帰ったら、
 今度は親にまで縁切られちまった。
 こっちは毎日暮らすのも大変なんだよ!
 そういう奴を見て見ぬ振りするのが、忍術学園の学生か?
 お前たち、今でも先生から人の役に立てって言われてるだろ?
 しかも後輩の前でさ、どうだよ?何とも思わないのか!?」

――それが本音か…。

雷蔵は情けなくなってため息が出た。
自分たちに声をかけたのは、自分たちが良く見えただけ。
きっぱりとはねつけられたことで、羨ましさが妬ましさに変わったようだ。

――情けない…。

相手は、雷蔵たちに呆れられているともわからず、ぐちぐちとしつこく話し続けている。

あきれ果て、何言ってんだこいつ…とつぶやく三郎に、雷蔵が素早く目くばせする。
阿吽の呼吸の相棒は、瞬時に意をくみ取り、
さっとその場から1年生を遠ざけた。

1年生が離れたのを見計らって、雷蔵は向き直り、
能面のような、表情のない顔で口を開く。

雷蔵「…自分は頑張ってきた、真面目にやってきたら、何をしてもいいのかい?
   頑張ってきたのは僕も同じさ。でも何をしていいとは思っていない。
   他の人に迷惑かけるようなことはね…。

   君は結局、僕たちに対して何もけじめをつけていない。
   元の級友ですらない。ただ昔知っていただけの人だ。
   …そのことが…その歳になってわからないなんて、
   君はよっぽど人を大事に思うことができない人間のようだね…。」

言われた相手は…
ただポカンとした顔になった。

「…は?何言ってんだ?
 意味が分かんねぇよ。
 けじめってのもなんのことだ?

 別に何が迷惑ってわけでもないだろ?
 むしろ困ってんのはこっちなんだから。
 それを迷惑呼ばわりして、他人のふりって何様だよ!?
 なに昔のこと根に持ってんのか知らねーけど…」

全く話はかみ合わない。

雷蔵は冷たい視線を向けながら、
ふぅん…と素っ気ない返事をする。
そして、

こう言い捨てた。

雷蔵「思った通りのゲス野郎で良かったよ。
   これで僕の人生から君のことを消してやれる。
   僕の人生の中で、君の生きた証などないように、きれいさっぱりとね…。
   昔の仕返しというなら…これが僕の仕返しだよ。」

「…っ!!」

雷蔵「努力せず、自立しようとしない人間に施しするほど、僕はお人好しじゃあないよ。
   文句があるなら、自分自身に言うことだね…。
   困難に目を背けて、面倒なことから逃げて逃げて…
   逃げて続けて何かあったかい?
   …これからも際限なく逃げ続ければいいさ…。

   …さようなら。」


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2013/09/16 ♪忍たま小説♪ Comment(0)

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