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《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。 スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすら妄想ですが、雷蔵の過去捏造・竹谷の実家設定捏造などがあります。 特に雷蔵の回想部分は、いじめに近い表現があり、人によっては気分を害するかもしれません。 また、それに対する先輩たちのアドバイスがありますが、あくまで個人的な意見ですので、この主張が正しいというわけではありません。
中二病的発言もありますが、それは華麗にスルーしてください。お願いです。 もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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日も傾いてきた放課後。
各委員会の活動が始まりだす。
留三郎は用具倉庫の前で、腕組みをしながら険しい顔をしていた。
留三郎「…来たか。」
留三郎が待っていた者。
それは、先日作兵衛に手をあげ、力任せに殴った3年生だ。
本人も、十分心当たりがあるようで、静かに留三郎の前に歩いてくる。
「…。」
目の前にうなだれながら次の言葉を待っている後輩を見つめ、留三郎は静かに切り出した。
留三郎「…己の何が悪いか。やっと認められたようだな…。
お前には、委員会の活動に入ってもらう前に、やらなきゃならないこととがある。
それは分かっているな。」
「はい…。」
留三郎「なら、その責めをきっちり果たしてくることだ。
果たさないうちは、委員会の活動はさせられない。」
「はい!」
決意したように顔をあげ、はっきり返事をした彼は、
作兵衛が作業をしているだろうもとへ、まっすぐ走って行った。
伊作「ずいぶん素直になったようだね。よかったじゃないか。」
後ろの茂みから、留三郎と同室の伊作がそろそろと姿を現した。
どうやら、彼も彼なりの心配から様子を見に来ていたようだ。
その心は…まっすぐに「どうして――!?」と疑問を投げかけてきた後輩に答えた自分の言葉が、偽りであったとは思いたくない、
そう願う気持ちからに違いない。
留三郎「あぁ…俺もあのまま腐ったような奴だったら、見捨てようかと考えていたところだが…。まだ救いはあったようだな。
あいつは…伊作、お前に救われたようなもんだ。」
ほっとした表情で微笑みかけてくる優しい級友。
その顔を感心するように、留三郎は見つめた。
本当は、ずいぶん前から留三郎は例の三年生に対して、すでに見限ろうと考えていた。
しかし、そこに待ったをかけたのは、他でもない伊作だった。
「間違いに気づく機会が多ければ多いほどいい―――」
「しかし、その間違いに気づかず、目をそむけるようなら―――」
この優しい級友に諭された時のことを思い出しながら、
例の三年生が向かっていった先に目を移した。
庭の端で修理を始めている作兵衛に、何かしら話しかけている。
ここからでは会話は聞こえないが、しきりに頭を下げている様子から、自分の非を謝罪しているのだろう。
後輩に対する真剣な態度に、留三郎は、ほっと言いようのない安堵感を感じた。
留三郎(…そんな奴じゃあなかったんだな、お前は。)
…良かった。
留三郎は心底そう思った。
そしてやっと話がついたのか、荷物を半分こしてやってくる2人の後輩を眺めていた。
その顔に、卑屈な影はもう見られない。
留三郎「もう、同じ間違いはしないな。」
その問いに、罰の悪そうに頭を掻きながら、彼はこう答えた。
「はい。
…僕が…間違ってました。
あの後、先生に怒られて…よく自分のしたことを反省したんです。
そしたら…なんか自分が情けなくなって、とことん恥ずかしくなってきました。
もう、同じことをするのは嫌です。
自分が…自分を絶対に許さないと思います。」
留三郎「そうか…きっとだな。俺はそう信じるぞ。」
「はい!!」
(こいつはもう、同じ間違いはしないだろう…俺はそう信じる。)
一緒に作業を始めようとする後輩の背中を見ながら、
この2人が、いつまでも道を誤らずに進んでいけることを、
留三郎は何かに祈った。
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夜、四年長屋にまだ煌々と明かりのともる一室があった。
留三郎と伊作の部屋だ。
留三郎は縄をないながら、伊作は薬を煎じながら、今日の出来事についてぽつぽつと話し合っていた。
伊作「どうなることかと思ったけど…。無事、みんな良い方向にまとまってよかったね。
…うん、本当に良かった。みんな…自分のことから逃げずによく頑張ったよ…。」
留三郎「あぁ…俺も本当にほっとした。
自分のとこの後輩はもちろんだが…ほかの後輩だって、大事な忍術学園の生徒だ。
誰も、『根性腐ったような人間』の第一歩を踏み出さなくてよかったと思っている。
こういうちょっとしたことから逃げ続けていると、いつか本当に救いようのない人間になってしまうからな…。
…。
…人でありながら精神は畜生にも劣る奴は意外と多い。
俺は今年から忍務に出るようになって、つくづく思ったよ…。
夜盗や野武士…なんの信条もなく、ただ己の欲望のままに動くことを自分たちの中で勝手に正当化している奴ら…。
それを退治する忍務を何回かこなして…なぜこんな奴らが世の中にのさばり続けるのだろうと…ずっと考えていた。
そういうやつは、常に自分が食われるという恐怖を根底にした虚栄心がある。
自分より強い者にはこびへつらうが、弱い者にはここぞとばかりに付け込んで侮辱する。
一番手に負えないのは、無意識にそれを楽しみ、自分を正当化する奴だ。
そういう輩はこっちが怯えたり哀れみを乞うたりしたら、権利も人格も居場所さえもすべて根こそぎ奪って、心身ともに死ぬまで痛めつける。
…女子供といえど、そんな陋劣(ろうれつ)な心を持つ輩は鬼畜としか言いようがない。」
伊作「…。」
留三郎「そんな奴らは卑怯で小心者なくせに、常に自分より弱いものを物色している。
常に自分より弱い者・立場の低いものを見つけ、見下し、自分の力は上だと守っていかなければ、自尊心が保てないのだ。
それに!そんな奴はなぜか鼻が利く。ターゲットを見つけ出すのはなぜか天才的な感が備わっているとしか思えん!!」
怒りが込み上げてきたのか、縄をなう手つきが無意識に荒々しくなる。
それを静かに見つめながら、同室者は応えた。
伊作「それは、自分の生き方やプライドがかかっているからだよ。
そいつらの生き方やプライドなんて、自分勝手でちっぽけな、ちょっとしたことで吹き飛ぶようなちゃっちいものだけどさ、
それしかないからしがみつくのさ。そして、それを何としてでも大きく良く見せたいために、
自分の踏み台にできるような人を嗅ぎ出すのさ。その踏み台にされるのは、他でもない。
自分や家族や仲間のために、村のために、日々真面目に生きている者たちだ。
争いを好まない、皆で協力して生活の糧を得ることを第一に考える人たちだ。
その人々がそんな独りよがりなエゴの犠牲になっていいはずがない。」
留三郎「その通りだ。生き方やそいつの力量はそれぞれだが…。
だからと言って、他人を陥れること、他人の『あるべき権利を力づくで奪うこと』は決して許されない。
意見の対立や、人とぶつかることも数限りなくあるが、自分のエゴだけで主張を押し通してはいけない。暴力をもってしてなん
てもってのほかだ。それが腕力であろうと、言葉の暴力だろうと同じことだ。
…力で介入するのは、最後の手段だ。少なくとも俺はそう思っている。
それを日常的に、おもちゃのように振り回して、周囲に恐怖を与えて支配するなど…。
力は利己的な人間が持つべきものではない。
力を持てる者は、正しい心も持つべきだ。」
薬を煎じる鍋を見つめ、静かにうなずきながら、
伊作もまた、とつとつと自分の考えを述べていく。
伊作「何が正しいかは、僕たちも偉そうなことは言えないけれどね…。
でも…この学園で教えられていることは、真理に近いと思えるよ。
人の世界で、人と人がエゴで争うことほど、無益なことはない。
どちらにも言い分があって、難しい問題は山積みされているけれども…
それでも人の権利を勝手に踏みにじることだけは…一番やってはいけないことだ。」
静かに述べる意見に、留三郎は同意するように深くうなずく。
そしてまっすぐ伊作を見た。
留三郎「だからこそ、そんな奴を出さないよう、俺たちはしっかりと学び、手本になり、指導をする必要があるんだ。
今は罰を下すのは先生方だが…今はそれでいいが…。
これが世の中に出たらもうそんな「罰」じゃあすまなくなる。
そんな奴をここから世の中に出したくはない。誰一人として…。」
ちらと留三郎を見やり、また鍋に視線を移す。
そして独り言のように、伊作はつぶやいた。
伊作「本当に…誰一人…いないといいけどね…。」
静かな闇の中、コトコトと
鍋の煮える音だけが響いていた。
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