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《以下の文章は、兵太夫の妄想文です。
内容はひたすら妄想ですが、兵太夫の過去捏造・実家設定捏造などがあります。オリキャラ満載です。
特に回想部分は、子供の虐待に近い表現があり、人によっては気分を害するかもしれません。
そのそれに対する登場人物たちのアドバイスがありますが、あくまで素人の小説なので、肯定しないでください。
中二病的発言は、華麗にスルーしてください。お願いです。 もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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白い雪が次第に解け、ようやく野山や町が、本来の色を取り戻した頃。
兵太夫はある山に向かっていた。
隣には、同じく旅姿の萩乃がいる。
忍術学園に入ることが決まった後は速かった。
いつの間にか手続きがなされ、荷物がまとめられ、
母と過ごした城内から、与えられた城下の町屋へ移り、
山里の質素な平屋へと移された。
そこがこれからの我が家であり、萩乃だけが家族となった。
今は、これから6年間を過ごすところへと向かっている。
大きな門の前に、大きな看板が掲げられている。
門をたたく。
ドンドンという音が、今までの家や思い出、
全てから引き離す最後通告のように聞こえた。
ぎぃっと、くぐり戸が開く
自分はここから、この中に入らなければならないのだ。
「はーい、どなた~?」
のほほんとした、人のよさそうな青年だ。
「笹山家からまいりました。萩乃と申します。
入学の手続きにまいりました。」
「は~い、学園長からお聞きしています~。
では、ご案内しますので。入門表にサインを。」
(…ずいぶん、変わったところだなぁ…。)
今まで自分のいた、大人ばかりの静かで難しい話ばかりのところと違い、
自分と同じくらいの子どもたちの声がたくさんする。
しかも笑い声やはしゃいでいる声ばかりで、とても楽しそうだ。
時たま、何かが爆発する音まで聞こえる。
「あの…大丈夫なんでしょうか?
なにか大きな音が…」
萩乃が心配そうに聞く。
騒ぎ声に混じって、剣と剣が打ち合う音まで聞こえてくる。
「いいんです~。
怪我さえしなければ。なんでもやっていいんです。
それぞれ好きなことだったり、やりたいことやっていいのが当たり前って雰囲気なんです。
僕もへっぽこ事務員なんて言われてますけど、おかげさまでなんとかやっていけてますから~。」
(へっぽこなんて言われて…なんでこんなにのほほんとしてられるんだろう?)
そのまま世間話をしながら離れに案内した青年は、
中に向かって呼びかけた。
「学園長~入学希望のお客様で~す!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
学園長、と呼ばれた老人は、
どことなくいたずら好きそうに見えた。
「兵太夫、と申したかな?
お主は忍者になりたいかの?」
「僕は忍者になんかなりたくありません!」
「これっ!」
思わず萩乃が兵太夫の袖を引く。
――しまった。
半ば追い出されるように、城から出て、
でも自分は武士の息子ということが心の支えとなっていた。
とはいえ、この人にとっては何も関係ない。
そんな人に、意固地になっている自分の気持ちをぶつけたところで、
相手を怒らせるだけだ。
――怒られる!
身構えた次の瞬間、
「かっかっか!!」
目の前の老人は面白そうに、大きな声で笑った。
「よいよい。その意気じゃ。
そうでなくては、うちではやっていけん。」
ポカーンとして見つめ返すと、
「まずは一度、武士だの忍者だのは置いておきなさい。
ここにいるのは、兵太夫という一人の子供じゃ。
この学園にいるからには、子供として毎日元気に過ごしてもらわなきゃらん。
やりたいことをやって、友達もたくさん作っていっぱい遊びなさい。
まあ、それなりに勉強もするがな。
あとは毎日、食堂のおばちゃんのおいしいご飯を食べることじゃ。
お残しだけは許してもらえんから、注意するように。
守ってもらいたいのは、それだけじゃ。」
それから、学園での生活が始まった。
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