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《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。 スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすら妄想ですが、雷蔵の過去捏造・竹谷の実家設定捏造などがあります。 特に雷蔵の回想部分は、いじめに近い表現があり、人によっては気分を害するかもしれません。 また、それに対する先輩たちのアドバイスがありますが、あくまで個人的な意見ですので、この主張が正しいというわけではありません。
中二病的発言もありますが、それは華麗にスルーしてください。お願いです。 もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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次の日…。
生徒たちが起きだし、活動し始めるころ、
朝もやの残る薬草園では、せっせとはたらく2つの姿があった。
1年は組の数馬は、4年は組の伊作とともに、薬草摘みに来ていた。
腫れに効く薬草を摘みながら、ふと、伊作は数馬に声をかけた。
伊作「数馬、作兵衛は大丈夫?
痛みでご飯が食べられないとかはない?」
数馬「あぁ、作兵衛なら大丈夫ですよ。毎食、残さず食べてます。
『あんな奴に力で負けるなんて悔しい!
もっと大きくなって強くなれるんなら、意地でも食ってやる!!』
って、根性で完食してますからね。」
伊作「作兵衛らしいね…大したもんだよ。」
数馬「…あの、食満先輩には…。」
伊作の返答を伺うように、遠慮がちに数馬は尋ねた。
伊作「…留三郎はね…一応このことは知ってるよ。
けど、彼らに処分を決定するのは、先生だ。
同じ立場の忍たまである留三郎が判断をすることじゃあない。
いくら後輩がかわいくても、そのくらいのことは分かっているさ。」
…。
ふと、今度は数馬がポツリと声をかけた。
数馬「…伊作先輩…。」
伊作「ん?」
数馬「僕…なんか不公平な気がします。」
伊作「不公平?」
数馬の薬草を摘む手が止まり、
うつむきながらポツリポツリと話し出した。
数馬「…だって、作兵衛も不破先輩も、何も悪くないじゃないですか。
少なくとも、僕から見たら2人とも、なんにも悪いことしてないです。
そりゃ、作兵衛の言ったことは生意気だけど…。
あんなひどい怪我させられたり、からかわれて毎日嫌な思いさせられたりする理由がありません。
なのに、相手の方は僕たちから責められないし…
そのグループ全員を、先生から叱ってもらったとしても…
みんなで怒られたら真面目に聞かなかったり、反省しなかったり、
挙句の果てには開き直ったりするし…
多分、そんなことする人はみんなでやれば怖くないというかなんというか…
そういうことがなんとなく分かってるから、自分は悪くないって逃げられるって思ってるんだろうけど…
……ずるいなって…
…正直、僕、作兵衛を殴った3年生の先輩も、怪我して医務室に来なくてよかったと思ってるんです。」
伊作「どうして?」
数馬がさっと顔を上げた。
うつむいていた目が、まっすぐ伊作を見る。
数馬「だって!手当てなんてしたくないじゃないですか!そんな人!
新野先生はいつも『敵味方関係なく、病人や怪我人を助けなさい』っておっしゃるけど、
僕、悪い人は助けたくない!どうして良い人だけ助けちゃいけないんですか?」
伊作「…。」
優しく、穏やかな上級生は、まっすぐに自分を見据える後輩の目をじっと見つめた。
この、いつも笑顔を絶やさない後輩は…
今、怒っている。
理不尽だと、怒っている。
伊作(その気持ちは当然だ…でも…。)
3つ上の、優しい先輩は困ったように笑い、
応えた。
伊作「…難しい質問だね…。確かに僕だって嫌だなと思う奴はいる。
正直、助けてなんてやりたくないと思うことだってあるさ。
でも、仮に両方が怪我をして医務室に来たとして、数馬が作兵衛しか手当てしなかったら…。
どうなると思う?」
数馬「…。」
伊作「3年生たちは不満に思うだろうね。
たとえそれが自分たちの行動が原因だとしても、まだまだ彼らも子供だから、
自分勝手な不満を募らせるだろうね。
そうしたら、その不満の矛先はどこに向かう?
数馬にはもちろん、作兵衛や雷蔵にも向かってしまうだろう?」
それじゃ、困るだろう?
そう問われて、数馬はうなずいた。
しかし、まだ納得した目ではない。
伊作「これは僕の考えだけどね…。
そもそも人間はお互いに認め合い、より良い行いができるよう協力して生きていく生き物だと思う。
もしそうでなかったら、憎しみ合ったり敵対することに、悲しんだり苦しんだりすることはないだろう?
逆に、自分勝手な欲求を満たそうとしたり、虚勢を張って自分をよく見せようとしたって、
人間が自分勝手に、見栄っ張りのままで生きていくことができないから、不満が募るんだ。
僕は能力のせいか、性格のせいか、他人の心に共感しやすいから人の苦しみに気づきやすいのだけど…。
苦しみや不幸だと思うことには原因があって、その原因は様々だ。
いろんな原因があるからこそ、その人自身を責めることができないようなことだってある。
一見悪い人に見えても、その理由が家族のこととか、自分ではどうしようもない状況だったりね…。
大事なのは、その苦しみの原因がどこにあるか、自分自身で気づいて改めていくことだ。
そして、その人がどうしても一人ではできないことがあったなら、
周りの人間はそれを手助けしてあげることが必要だと思ってる。
そして、本当に悪い人とは、自分勝手な欲求を満たそうとして、それが満たされないことに不満を持ち、
不幸だと主張している人のことだ。
その上、その心を改めず、自分に都合のいいことだけを言う人しか付き合わず、
自分と違う人や弱い立場の人を侮辱する者のことだ。
…少なくとも、僕はそう思ってる。」
数馬「…でも、それでも…なぜ助けなきゃいけないのかわかりません。」
悔しそうに俯き、数馬は唇をかんでいる。
その後輩の視線を合わせるように、伊作はかがんで、優しく肩に手を置いた。
伊作「…助けられたとき、人は助けた人に感謝するよね。それが人間だ。
そして、自分の行いを振り返ったり、より良い行いをしたいと思うはずだ。
それが、自分の苦しみの原因を見つけ、改めるきっかけにもなるんだよ。
気づいて改められるなら、そのきっかけは多いほうがいい。
ただ、そのことに気づかなかったり、気づいても眼をそむけ逃げるような人間なら…
いつか助けてくれる人も、信じてくれる人もいなくなるのさ。
そうなったら、その人は人として一番不幸な人生を送るしかないんだよ。」
数馬「…。」
ゆっくりと顔を上げる数馬。
まだ眉毛を八の字にはしているが、悔しさはだいぶ薄まっている。
それを見、伊作は安心したように、
にっこりと笑った。
伊作「まあ、僕も君も、ここにいるみんなは、今はまだまだ未熟な人間だ。
今からいろんなことを経験するなかで、正しいこともすれば、間違ったこともする。
間違ったときには、それを認め、そこから自分はどうすべきだったのか考え、正しい心を学ぶんだ。
そして、生きていくうえで大切な、自分で自分のことを決める力を養っていくんだよ。」
数馬「…。」
伊作「大丈夫?ややこしい説明だったかな?」
数馬「いいえ。
全部分かったとは言えないんですけど…
たぶん…僕…ひとつ、間違ったことを言ってたと思います。」
そういうと、数馬はちょっと考え、
伊作の目を見てこう続けた。
数馬「自分が『良い』と思った人しか助けないっていう考えは…僕の勝手な考えですね…。
…僕、『嫌な人』を助けなきゃいけなくなったとき、どうしたらいいのか…
まだよくわからないけど…ちゃんと考えてみます。」
伊作「うん。そうしてもらえると、僕もうれしいよ。
ゆっくりでいいから、自分の考えを持てるように…ね。」
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