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2025/01/09

【5のろの奇妙なRKRN その7】

《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。 スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすら妄想ですが、雷蔵の過去捏造・竹谷の実家設定捏造などがあります。 特に雷蔵の回想部分は、いじめに近い表現があり、人によっては気分を害するかもしれません。 また、それに対する先輩たちのアドバイスがありますが、あくまで個人的な意見ですので、この主張が正しいというわけではありません。
中二病的発言もありますが、それは華麗にスルーしてください。お願いです。 もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》

=============================================


廊下をうなだれて歩く。


と、不意に声をかけられた。


留三郎「おい、不破。」

雷蔵「食満先輩…。」

留三郎「ちょっと話が合ってな…俺の部屋まで来てもらってもいいか?」

雷蔵「はい。」


留三郎に連れられ、4年長屋の一室に入る。
ちょうど同室の伊作は今は不在のようだ。

雷蔵を適当なところに座らせ、その正面に留三郎が、
険しい顔をして座る。


留三郎「話というのは…作兵衛の怪我のことだ。
    …あれ、どこの誰にやられた?」

じっ、と答えを雷蔵を見つめる留三郎。
まっすぐ雷蔵を射る、鋭い目つき。
さっきのチャンバラ野郎とは、全然違う。
嘘やごまかしなど見逃さない、鷹のような目だ。


留三郎「作兵衛は同級生と喧嘩したと言っていたが…本当は違うんだろ?」


この人にごまかしは通用しない。
なにより、本気で作兵衛のことを心配してくれている。
そんな人に、嘘はつけない。

けれど、作兵衛は、自分で解決したいからと口止めしてきた。
ここで簡単に「はい、そうです。」と打ち明けるわけにもいかない…。

雷蔵「…。」

黙りこくっている雷蔵を見て、何かを察したのか、
留三郎はふぅと一息ついてから話し出した。

留三郎「…作兵衛に口止めでもされたか?
     どうも一本気というか、まじめすぎるというか…。
     あいつにはそんなとこがあってな。まあ…わからんでもないが。

     ただ、これに関しては、作兵衛一人の力や1年生たちの力で解決できることではない。
     本人の考えは真っ当だろうし、尊重してやりたい気持ちは俺も十分に理解している。
     ただ、それは本人たちに解決できる力が備わってからだ。
     それまでは誰かが影から支えてやることが必要になる。

     俺だって、別におおっぴらに関わろうって気はさらさらない。
     もちろん相手の上級生にも真正面からどうこうしようという気はない。
     必要なところだけ手助けしようと考えている。
     …だから、何があったか…それだけでも教えてくれないか?」

雷蔵は黙って、その言葉を読み込んでいた。

―――この先輩は、もうすでに僕たちが何を話したのかお見通しだ。
そして、僕たちの気持ちをきちんと考えてくれている。
たとえ腹に据えかねるようなことがあっても、自分の感情だけで問題に首を突っ込む人ではない。
きちんと話せば、きっと作兵衛の意思を尊重してくれる。
むしろ、下手に嘘をついたり隠し事をする方が、余計なことなのかもしれない。

雷蔵は、そう決めて
口をひらいた。

雷蔵「気づいてましたか…。」

留三郎「当たり前だ。
    作兵衛の手には、自分から殴った時に出来る傷がなかった。
    同級生との対等な喧嘩だったら、あの作兵衛のことだ、必ずやり返してるだろ?
    あんな怪我するまで喧嘩するんだったら、体のあちこちにすり傷や泥がついているものだし、相手も同じくらい怪我しているはずだから一緒に医務室に来ているだろうさ。
    それが一切ない。作兵衛の顔面のあの怪我一つだけだ。
    …俺の見たところじゃ…上級生に一方的に殴られたんじゃないか…?」

…。

やはり、さすがだ。
すべてお見通し、だったのか。


雷蔵「…そうです…。」

留三郎「詳しく聞かせてくれ。」


雷蔵は、かくかくしかじかと、今回の件について語った。
その間、留三郎は険しい顔で聞いていた。
一通り、説明を聞いた後、留三郎は額に拳を当て、しばらく黙っていた。

留三郎「…つまり…うちの3年生が最近お前にちょっかい出していて、
    それに対して、作兵衛が意見したところ、逆上したそいつに殴られたということか…。」

雷蔵「…はい。」

留三郎「…う~ん…。」

雷蔵「本当にすみません…僕がもっとしっかりしていたら…。
   作兵衛が怪我をしたのは…僕の弱さが原因です。」

留三郎「…いや、悪いのはうちの3年だ。
    いつも注意してはいたんだがな…どうもあの性格だとなかなか成長しないようだな…。
    それに、作兵衛には作兵衛の主張があって、その結果衝突しただけだ。お前のせいじゃない。」

雷蔵「でも…僕があの時迷わなかったら、八左ヱ門も突っかかっていかなかっただろうし…。
   そもそも、僕がちゃんと話し合うなりして解決して、
   また仲良くなっていれば、こんなことには…。」

留三郎「おい、それは違うぞ。」


急に、留三郎の口調がきつくなった。
留三郎の手が、雷蔵の肩を両手でぐっとつか。
そして、まっすぐ、強い目で雷蔵の目を見ている。


留三郎「お前は勘違いしている。
    話し合いだとか、仲直りだとか、そんな話ではない。
    今のお前の状況はな、あいつらに『ナメられている』んだ。

    いいか、ナメられるというのは大変なことなんだぞ。
    相手を見下し、すべてを否定し、暴力で従わせることまで正当化する行為なんだぞ。
    お前はそれを甘んじて受けるのか?

    それに、自分をナメた相手を見返すというのは、もっと大変なことだ。
    完膚なきまでに叩きのめして、『こいつには絶対に勝てない!』と腹の底から思わせなければ、
    一生ナメられ続けることになるんだ!!

    お前は優しい人間だから、きっと相手を傷つけることや争うことが嫌なのかもしれないが…、
    今のお前の状態は間違いだ。
    
    他人を思う心は尊い。
    が、自分自身を大切にすることも、同じくらい重要なことだ!!
    そして、自分の尊厳を守れるのは、他ならぬ自分なんだぞ!!」

留三郎の強い目線に驚きながらも、おろおろと雷蔵は言葉を返す。

雷蔵「そう…そうですね…。
   僕…しっかりしなきゃ…。
   作兵衛みたいに…。
   強さが足りないんだ…。」

違う!!

するどい声。
肩におかれた手に力がこもる。

留三郎「お前は強い!十分強い!

    お前に足りないものがあるとすれば、自分の尊厳を守り、主張する勇気だ!!

    これは誰にも奪うことのできない権利だから、遠慮なく主張していい!!
    もしそれを否定して暴力に訴えてくるやつがいたら、そいつは逆に自分の権利を暴力で奪われても文句はない
    と言っているようなものだ。
    ただそいつらと同じことをやれとは言わん。
    他人の人としての存在を否定したら、奴らと同じだ。
    
    非難されるのは、その『人』じゃない。『行為』と『精神』だ。
    その卑劣な行為と未熟な精神を軽蔑し、突き放してやれ。
    それが、やり返すってことだ!!」

雷蔵「…やり返す…?」

留三郎「あぁ。まあ俺の意見は少し極端かもしれないがな。
    だが、世の中にはお前のように優しく強い人間ばかりではない。
    卑怯で弱い人間もごまんといる。
    そんな奴は自分が非難されないと思うと、付け上がって自分勝手なことをやり始める。
    そんな奴に、いいように自分の生活や人生を引っ掻き回されてみろ!!
    お前も、お前の周囲の人間も、皆が不幸になるんだ!!

    それを阻止するためには、自分の意見をしっかり持ち、主張する勇気がいる。

    雷蔵、お前はその考えがまだ未熟なだけだ。
    いいか、自分がどういう人間でありたいか、よく考えるんだ。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


その夜、雷蔵は三郎と話し込んでいた。
八左ヱ門は、疲れていたのか、2人が風呂から戻ってきたときには、
もうすでにぐっすり眠ってしまっていた。

寝息を立てる八左ヱ門を起こさないように気を付けながら、
雷蔵は留三郎に言われたことを三郎に話した。


雷蔵「だけど、なかなか難しいことだよね。
   『自分がどういう人間でありたいか。』って…。
   なんだか、ますます迷いそうな気がしてきたよ…。」

三郎「…ふ~ん…食満先輩は『武闘派』って言われるくらいだからな…。
   ちょっとその意見は突飛な面もあるかもしれないけど…。
   自分の意思をしっかり持つという意見には、私は賛成だな。
   やっぱり、自分の考えが分かっていないと、なかなか人に意見することなんてできないもの。」

雷蔵「そうだよねぇ…う~ん…僕はどういう人間になりたいんだろう?
   ……う~~~~~ん…。」

いつものように『悩みスイッチ』が入ってしまいそうになった雷蔵。
その思考をひとまず止め、三郎は今日はもう遅いから寝ようと促した。

明かりを消し、布団に入って、眠気を待つ…。

三郎「雷蔵。」

不意に暗闇から三郎の声がした。

雷蔵「なに?」

三郎「私は雷蔵が取っ組み合いの喧嘩をしようと、先生に言ってしかるべき処罰をお願いしても、
   雷蔵の決めたことを応援するよ。
   だって、雷蔵はあいつらみたいに卑怯なマネや後ろめたいようなことする人間じゃないと信じてるからさ。

   私は、これからも、いつだって雷蔵のそばにいるよ。
   おやすみ、雷蔵。」


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2012/10/18 ♪忍たま小説♪ Comment(0)

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