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2025/01/09

紅葉の宿【その5】

《以下の文章は、兵太夫の妄想文です。
内容はひたすら妄想ですが、兵太夫の過去捏造・実家設定捏造などがあります。オリキャラ満載です。
特に回想部分は、子供の虐待に近い表現があり、人によっては気分を害するかもしれません。
そのそれに対する登場人物たちのアドバイスがありますが、あくまで素人の小説なので、肯定しないでください。

中二病的発言は、華麗にスルーしてください。お願いです。 もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》

=============================================

いつになく寒さが厳しさを増した冬、
兵太夫は10歳の正月を目前に控えていた。

外は朝からしんしんと雪が降っている。
雪が降り積もっていくのと比例するかのように、母の容体は日増しに悪くなっていった。

兵太夫は毎日、母の元に通った。
容体が悪化してからは、うつすと悪いとのことで病室には入れなかったが、
入れずとも、せめて母のためにと声を聞かせていた。

母の声は日増しに弱くなっていたが、襖越しでもちゃんと聞こえている。
おそらく襖のすぐそばに床をしいているのだろう。
いつも母の枕元と思われるところで、話かけていた。

朝の「おはようございます。」に始まり、
夜の「お休みなさいませ。」に終わる。

そんな毎日が続いていた。

いつものように、寝る前のあいさつを終え、自室に戻ろうとしたとき、
母に呼び止められた。

いつも最後は「温かくしておやすみなさい。」と答える母だったが、この日はどうも様子が違った。


「兵太夫…。」

「はい。ここにおります。」

「しっかりと生きるのですよ…自分に恥じない生き方を…。
 殿の御子は何人もいますが、私の子はあなた一人…。
 母だけはいつもあなたのそばにおります…それだけは、心に留め置いて…。」

「…。」

「兵太夫?」


はっと何かが込み上げるのに気づいた。
ぐっとこらえ、上を向き、
母には精一杯大きな声で返事をした。


「はいっ!ちゃんと聞いております!ここにいます!母上!」

「…よかった。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


兵太夫の足音が聞こえなくなるまで、御前は耳を澄ませていた。
やがて、小さな足音は雪の降る音にまじっていった。

それを聞き届けたかのように、天井に目を移し、御前はつぶやいた。


「萩乃…。」


「はい…。」


「…私が死んだら…あの子はどうなろう…。」


次の朝は、真冬には珍しくちらちらと雪が舞っていた。
その雪に溶け入るように、笹山御前は身罷った。


>>NEXT

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2014/09/21 ♪忍たま小説♪ Comment(0)

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