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《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。
スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすらおバカですが、小平太と長次の過去捏造がちょっくら入ります。
ご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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(こいつと仲良くやっていけるのかな? 私と正反対だ。)
それが中在家長次の第一印象だった。
しゃべらない、
動かない、
笑わない、
そして、何より
暗くなるまで外で遊んだことなんて、なさそうだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
小平太「…う~ん。おっ!終わったか!!」
長次「…(こく)。」
小平太「今回もよく勉強したような気がするぞ!長次!!」
長次「そうか…それは良かった…。」
豪快に背伸びし、固まった体を動かす小平太。
無事、『ゴールデン・リヴァー』の世界から帰ってきたようだ。
小平太「よし!!午後からも頑張るか!!ありがとう、長次!!またあとでな!!」
長次「…(こく)。」
ばんっ!!
どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど
来た時と同じように、疾風のように去っていく小平太。
その後ろで、真面目な図書委員の叫びが、むなしく響いている…。
久作「!!七松先輩!!障子直してから行ってくださいよ~~~~!!」
憐れ、図書室の障子は大破し、用具委員の出動を待つこととなった。
…。
廊下を疾走する小平太は考えていた。
自分を見送る…知らない奴から見れば至極無愛想に見える顔の…長次の顔を思い出しつつ…。
再テストが終わったら、お礼に長次に何をしてあげようか…。
そういえば、久作と同じ…2年生の頃だったか…。
初めて『ゴールデン・リヴァー』で勉強させてもらったときだったな…。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
小平太「長次!!これから出かけないか!?裏山まで!!」
長次「…何か用事があるのか…?」
小平太「用事といえばあるにはある!!ほら!外出許可証、もらってきた!!」
長次「…何をしに行くんだ?小平太?」
小平太「いいから、一緒に来てくれよ!!どうしても長次に一緒に来てほしいんだ!!」
…。
小平太に手を引かれながら、山道を歩く。
2年生とは思えないほどの力と体力で、長次をどんどんひっぱって歩いていく。
ところどころ落ちている五色米をたどって、小平太は森の奥へと進んでいるようだ。
こんな遠くまで、長次は実習でも来たことがなかった。
(小平太はどこまで行ったことがあるのだろう?)
本を読むのが好きな長次は、いつも図書室か自室で本を読んでいることが多く、あまり外に出たことがなかった。
知らない道・知らない草木・知らない小鳥の声・知らない空
知らない世界がどんどん広がっていく。
そして自分の知っている世界へと変わっていく。
突然、視界がさっと開けた。
そこは切り立った崖の上で、
そこからは忍術学園や近隣の村、遠くの山々まで、一望できる景色が広がっていた。
長次「…すごい。」
小平太「すごいだろ!!すごいだろう!!これを長次に見せたかったんだ!!
この間さ、『ゴールデン・リヴァー』で勉強させてもらったときにな、
その中でな!すごくいい景色を見たんだ!
長次自身は本の世界に入れないから、見ることができないんだろう?
私の見た景色とはちょっと違うけど、
私はさ、ど~うしても!長次にも見てほしかったんだ!!」
興奮して小平太がしゃべっている。目を輝かせながら、景色について説明している。
あっちにはこんなものがあって、こっちはあんな生き物がいたと、一生懸命話している。
本を読んで知っているつもりだったが、本当の世界というのはこんなにも眩しく、忙しない、不思議な世界だったのか。
あっちこっちで何かが動く、ゆっくりだったり、急だったり、予測もできない。
(まるで小平太だ…。)
不意にとても、楽しく、おかしく、言葉がたくさんあふれてきた。
自分の前に、大きな目を、さらに大きくして見つめている小平太がいる。
…。
しゃべらない、
動かない、
笑わない、
…はずの長次が、
よくしゃべる、
よく動く、
よく笑う、
あぁ…長次は『ないないづくしの奴』なんかじゃないんだ…。
自分の中にいっぱい大切なものをしまって、育てて、大事な時に何倍にも大きくして伝えてくれる奴なんだ。そう思ったとき、小平太は長次の手を握ってぶんぶん振り回していた。
小平太「長次!!長次ってすごい奴だな!!私はすごいと思う!!」
長次「小平太もすごいと思う…。本で見たことを現実に起こしてくれる。
本から想像する景色で…いつも満足してしまっていたけど、
それじゃあ本当の世界じゃないんだ。
この世界ってすごいんだな…。
もっと読んで、もっと知ることが大切なんだ…!」
小平太「これからも、ずっと仲良しでいてくれ!!
長次が読んで教えてくれた分、私は長次をそこに連れってってあげる!!
そしたら、長次は思いをもっと大きくして、みんなに伝えてくれ!!
もちろん聞くのは私が一番最初だぞ!!」
無邪気な笑顔の元、二人は二人にしかできない大切な約束をした。
過去から学び、現実に作り出し、次の者に伝えていく。
この約束が、これからどのくらい続いていくか、今はまだ想像もできないだろう。
二人の気持ちは、一緒に見ている空のように明るかった。
しかし、帰りは急な雨に見舞われた。ものすごい土砂降りだった。
五色米は流され、目印がなくなり…。
そして、案の定迷った…。
なんとか、学園まで帰る道を見つけ出したが、もう門限ぎりぎりの時刻。
すでに閉門5分前の鐘が聞こえていた。
長次は…後ろからなんとかついてきている。
それを気にかけながらも、小平太は焦っていた。
(このままだと門限まで間に合わない!
そうなったら、小松田さんのことだ。時間ピッタリに門を閉めてしまい、入れなくなってしまう!!
そして、自分だけでなく、長次まで怒られる!!
…『長次まで怒られる』?
それは…絶対に嫌だ!!)
前方にかすかに忍術学園が見える。
門が閉まりかけた。
その瞬間、小平太からオーラのようなものが立ち上り、門に向って一直線に突っ込んでいった。
『いけどおおおおおおおおおん』
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《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。
スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすらおバカですが、小平太と長次の過去捏造がちょっくら入ります。
ご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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長次の背後に、大きな川のイメージが表れた。
これが長次のスタンド、『ゴールデン・リヴァー』である。
悠久の流れを思わせる大河の流れ…その流れに乗って、小平太は本の世界へと入っていった。
怪士丸「先輩…なんかずるいです…。」
魂が抜け、眠ったように脱力している小平太を介抱しながら、怪士丸がつぶやく。
きり丸「そうですよ~俺らがテストの時には絶対やってくれないのに~。」
長次「お前たちはまだ教科書を読んで理解する力があるからな…努力をすればなんとかなるレベルだ。
しかし、小平太はそうではない。いくら頑張っても努力をしてもなぜかできんのだ。
落ち着きがないとか、集中力がないとかそんなものではない。
すでに向き不向きというような理屈を超えている。
あいつは実際に体験したことしか理解できないのだ…。」
きり丸「そうなんすか~?それでもなんかな~楽して勉強できるみたいでいいよな~って思っちゃいますよ~。」
長次「そう思うだろうな…だが小平太の理解力は本当に私たちの斜め上を行っているのだ…分かってやってくれ…。」
実際、七松解答を甘く見てはいけない。
昔、まだ長次と小平太が下級生だったころ、
『源頼朝について、知ってることを書きなさい(なんでもよし)』
というサービス問題に対して、
『もう死んでいる。』
という解答を書き、正解にすべきか拳骨をくらわすか、教師たちに論争を引き起こした張本人である。
このテストを受ける際、小平太は前回のテストの成績の悪さにショックを受けていた。
そのため、挽回しようと猛烈に勉強した。
寝食を忘れ、常に教科書を離さず、赤い下敷きを使うと答えが消える暗記ノートまで自作して頑張った。
そのあまりの気迫に、そばで見ている長次や他の同級生まで心配するほどだった。
…が、
上記のような解答をかましたため、小平太は十分な手ごたえを感じながらも、不合格だった。
解答のあまりの奇想天外っぷりに教師たちも頭を悩ませたが、
一番落ち込んでいたのは小平太だった。
小平太「なぁ…長次…私ってほんとにバカなのかな…?」
よくしゃべる、
よく動く、
よく笑う、
…はずの小平太が、
しゃべらない、
動かない、
笑わない、
部屋の隅に、膝を抱えてじっとしている。
初めて見る小平太の姿だった。
小平太「何回読んでも本に書いてあることが頭に入ってこないんだ…。
文字として書いてあることはわかるんだが、
書いてある中身がわからないんだ…。
先生が授業中に読んでくれたところとか、
長次が寝る前に読んでくれた本とかは理解できるのに、
自分で読んだところはさっぱりなんだ…。」
長次「…。」
小平太「なぁ長次…私って実はどっかおかしいのかな?
仙蔵も文次郎も、伊作も留三郎も…みんなできるのに…
どうして私だけできないのかな?」
長次「…小平太は…読むのだけが苦手なのか?
」
小平太「うん…。」
長次「それなら…小平太、本を読むときは私が一緒に読んであげようか…。」
小平太「ほんとか!!あ…でも、それじゃ長次が大変じゃないか?
長次だって勉強があるだろ?」
長次「それは…四六時中なんて言ったら困るが…時々なら大丈夫だ。
それに、どうせテストの出題範囲は同じなんだから、
一緒に勉強したほうがお互い楽しく勉強できるだろう?」
小平太「…!!ありがとう!長次!!お礼に今度うさぎ獲ってきてやるよ!!」
こうして、テスト前のろ組は、一緒に勉強するようになった。
教科書を出されれば、長次は面倒くさがらず読み、
普段授業中に寝てしまう小平太も、楽しそうに聞いていた。
そのおかげか、二人の成績は少しずつだが、確実に伸びていく。
長次は普段からたくさんの本を読んでいたので、教科書だけでなく、いろいろな話を小平太に聞かせた。
ただし、言葉だけではうまく伝えられない。
特に、想像力の乏しい小平太にとっては、話だけ聞いてもなかなかイメージがわかず、誤解させることもしばしばだった。
(あぁ…もっと一目でわかるような、私の考えていることが、小平太も見て・聞いているように伝えられたらいいのに…。
そうしたら、きっと小平太だっていろんな考えがあることがわかって、みんなの気持ちもわかるようになるのに…。)
長次がスタンド『ゴールデン・リヴァー』を出せるようになったのは、その少し後であった。
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《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。
スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすらおバカですが、小平太と長次の過去捏造がちょっくら入ります。
ご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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(こいつとは、僕は合わないな…。正反対だ。)
それが七松小平太の第一印象だった。
よくしゃべる、
よく動く、
よく笑う、
そして、何より
一冊の本も読み通したことがなさそうだ
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昼下がりの学園内。
今日も下級生の甲高い、はしゃぐ声が聞こえてくる。
…と、その中に混じって猛スピードで突っ込んでくる足音が…
どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど
ばんっ!!
小平太「ちょぉぉぉぉぉぉじぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!」
長次「…走る子供はろーかで転ぶ…。」
図書室に突っ込んできたのは、学園の最強暴君・七松小平太その人だ。
冷静に応えたのは、同室の歩く生き字引・中在家長次。
まったく正反対な2人だが、この2人、とても仲が良い。
その証拠に、小平太は本なんかさっぱり読まないくせに、しょっちゅう図書室へ特攻をかましている。
今日も弾丸のように小平太は図書室に突っ込んできたが、さすがは動く古代遺跡・中在家長次。
七松特攻に少しの動揺も見せない。
小平太「長次!!お願いだ!!一生のお願いだ!!!」
長次「13496回目の一生のお願いか…なんだ小平太。」
小平太「社会の教科書に私を送ってくれ!!明日の放課後に歴史の
再々々々々々々々々テストがあるのだ!!!」
長次「…。」
何回再テスト受ける気だ、小平太。
が、長年の付き合いで慣れているのか、長次は「そうか…。」とだけ言い、教科書を取り出した。
長次「それで…テスト範囲はどこからどこまでだ?」
小平太「原人から卑弥呼までだ!!!」
長次「……。」
教科書のページ数で言え、小平太。
長年の勘で、おそらく旧石器時代から古墳時代だろうと判断し、長次は細長く切った紙を栞代わりに挟む。
長次「…それで、いつ教科書に入るつもりだ?この範囲だと10分ぐらいで済むが…。」
小平太「今すぐ!!」
長次「………。」
どこまでもマイペースだな、小平太。
もう言いだしたら聞かないと言いたげにため息をつく長次。
身を乗り出してしゃべる小平太に、まず落ち着けというように手の平を向けた。
長次「分かった…今すぐやろう。ここに座ってくれ…。」
小平太「ありがとう!!長次!!お礼にあとでイノシシ獲ってくるぞ!!」
長次「ただし、再テストは今回で合格するように…。」
小平太「あぁ!もう再テストはこりごりだ!!」
長次の前にどっかりと胡坐をかいて座る小平太。
それを見て、いつものように注意事項を伝える長次。
長次「いつも言っているがな…私のスタンドの能力は本の中に精神だけ送ってしまう。
つまり、一時的に魂が抜けたような状態になる…。
もし万が一、本の中で何かあったら、もう戻れなくなってしまう。
そのことを忘れるな。十分注意して行けよ…小平太。」
小平太「あぁ!!大丈夫だ!!何があっても帰る!!!」
長次「じゃあ…始めるぞ…『ゴールデン・リヴァー』!」
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《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。
スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすらおバカですが、後半にシリアスめの伊作と留三郎の過去捏造があります。
ご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで。》
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2,3日後…。
六はの2人は、元の仲のいい2人に戻っていた。
大掃除もすっかり終わり、大量の物で埋まっていた彼らの部屋は、すっきり片付いた。
…コーちゃん増殖計画の件はどうなったか?
これは、伊作の懐がさみしいため、必要なものが調達できないという理由でお預けとなったようだ。
…留三郎のアヒルは…?
すべて倉庫に片づけられ、部屋には修理などの理由がない限り、持ち込まないということで決着が付いた。
結局六はのスタンドまで出した喧嘩は、2人とも譲歩する形で、仲直りすることとなった。
こうしてまた、忍術学園に新しい年がやってくる。
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留三郎 スタンド:メンコイ・ヨーグ
(主に用具委員1年生のあつまり。特にしめりけ要素を強化すると対・立花仙蔵に有利。
普段は学園内を自由にはしゃぎまわっているが、留三郎の掛け声でわらわらと集まってくる。
委員会活動中でなくとも、ちびった・ナメさんが脱走・お菓子が食べたいなどの現象が発生すると自動的に集まってくる。
機嫌が良ければ、3年生の富松作兵衛もくる。
『用具委員☆しゅつど~う』で、敵に右手でぽかぽか♪左手でぽかぽか♪攻撃をする。
また、必殺技『ハグミコイコーイ』を発動すると、1年は組がもれなく集まってくる。)
伊作 スタンド:ゴッド・オブ・フウン
(伊作に生まれつき憑りついている不運の神。その姿は落とし紙に似ている。
本体の伊作が温和な性格のため、普段は本体やその周囲にしか不運をもたらさないが、
伊作が怒りや憎しみなどの感情をもつと、特定の相手に連続して不運な出来事を起こすことができる
必殺技『”ウン”がつく』が使えるようになる。)
《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。
スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすらおバカですが、後半にシリアスめの伊作と留三郎の過去捏造があります。
ご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで。》
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喜三太「食満先輩~大丈夫ですか~?」
留三郎「あぁ…尻が痛いやら恥ずかしいやらで大変だが…大丈夫だ…。」
しんべヱ「でもどうして伊作先輩、あんなこと言ったんだろ?」
平太「…食満先輩にに対しては、本気でぶつかることにしている、なんて言ってたけど…。」
喜三太「でも、本気の喧嘩って言ったってスタンドで怪我させたらいけないよ~。」
作兵衛「こら、お前たち!見舞いに来たのか、騒ぎに来たのか、どっちなんだ!」
わいわい議論する3人。留三郎の身の回りを片づけながら、作兵衛がそれを注意している。
留三郎「いいんだよ。先にお前たちを呼んだのは俺だし、伊作のスタンドは、憎しみの心がなければ命にかかわるような怪我はしない。
大体、あいつは平和主義者だからな。よっぽどのことがなけりゃ人を憎んだりしないよ。
それに昔は伊作は大人しくてな、俺の方が一方的にちょっかい出したりしてたんだ。
よく俺だけ言いたいこと言って、伊作はその半分もしゃべらないなんてことあったからな。
その時の分を今、返されてるんだよ。」
今日は急に呼び出してすまなかったな。ほら、もうそろそろ夕飯の時間だ。遅れて食いっぱぐれてもしらないぞ?と留三郎は言い、
下級生を食堂に送り出した。
今日のメニューの予想や自分の食べたいものを言い合いながら、4人分の足音が遠ざかっていく。
その声を聴きながら、留三郎は自分たちが同じ年の頃を思い出していた。
留三郎(…昔は本当に一方的にしゃべってたな…えらそうに…自分の意見でしかないのにさ…。)
不運のせいで何事にも投げやりになっている伊作を見た時には、…こうまくしたてた。
『お前はツイてないだけだろ!?何で頑張ること、やめちゃうんだよ!!
一生懸命勉強して、薬草の名前全部覚えたじゃないか!!これでみんなの役に立てるって言ってたのに!!
失敗するのが嫌だからって、頑張るのまでやめるのかよ!!
そんなことしたらお前、ただツイてない奴から、中身もダメなやつになっちゃうんだぞ!!
そんなに全部不運のせいなら、俺に半分よこせよ!!
今より半分しかなかったら、頑張ったって無駄だなんて言えないだろ!!』
そして思いがけず、本当に不運が半分こになり、自分のせいで迷惑をかけたと泣きながら謝る伊作には…
…たぶん後にも先にもないぐらい、思ったことをぶちまけたと思う。
自分の頭にある言葉なんて少なかったが、それでも自分の中に出てきた言葉を、全部吐き出した。
『俺はかわいそうだと思ったから不運を半分くれって言ったわけじゃない!!
不運のせいで~不運のせいで~なんて言ってる伊作を見るのは、俺大っ嫌いなんだ!
だから半分こしたんだ!!
同じ量の不運でさ、俺は頑張ってるのに、お前が頑張れないなら、結局はお前が弱虫なんだ。
難しいことはわかんないけどさ、少なくとも俺は伊作は弱虫だと思って、不運全部返すぜ!!
それから他の奴が悲しいとか苦しいって言うと、ものすごく同じ気持ちになるみたいだけど、基本的にそいつの問題だからな!!
助けるのはいいことだけど、お前も一緒に悲しがったり苦しがったりしなきゃいけないってことはないんだよ。
ほら、前にろ組のやつにさ、困ってるからって必要以上に世話焼いてたら、最初はありがとう言ってたけど、
あいつお前にべったり頼っちゃったし、結局そいつ自分で自分のことしなくなっただろ?
しまいには世話焼いて当然みたいなことまで言ってきたじゃないか。
助けることと甘やかすことの区別ぐらい、ちゃんとつけとけ!!
じゃないと、伊作までずるずる引き込まれてっちゃうからな!!俺、嫌だぜ!!
あと俺には言いたいことがあったらはっきり言え!
なんでかお前は、他の奴の気持ちをすぐにわかっちゃうみたいだけど、俺は言わないとわかんないからな!!
どう頑張ったって、俺とお前は違うんだ。お前にわかっても、俺には分からない!
なんて言ったらいいかわかんないときは、とりあえず全部言え!!
喧嘩するときも、全力でやれ!!
俺、めんどくさいなんて言わない。いつだって聞くし、喧嘩する!
伊作のことがよくわかんなくて、もやもやするほうが絶対嫌だ!!』
その間、伊作は何も言わなかった。泣きじゃくりながらずっと聞いていた。
結局そのとき聞けた言葉は、「うん、わかった。頑張る。」だけだったが、そのあと伊作は本当に頑張った。
どれだけ運が悪くとも、失敗しようとも、俺と自分自身を信じて諦めなかった。
だが、自分としては、ただ思っていたことをすべて吐き出してぶつけたに過ぎない。
あくまでも留三郎の意見だけだ。伊作の意見はそこにない。
伊作の人生や内面にかかわることに自分の意見を挟んだ。
頑張るのは伊作自身だが、そのきっかけを作ったのは自分の言動だ。
伊作が俺を信じて頑張っている以上、俺は伊作を信じて一緒に歩く。
見守るなんて偉そうなことは言えないが、
それが自分の言葉に責任を持つことじゃないか、と、子供なりに思った。
今、伊作はスタンドを自由に調節できるようになった。
自分の意見を持ち、他人と対等に付き合えるようになった。
精神的に成長した。
そして、相変わらず留三郎には、本音でぶつかってくる。
いっぺんに投げつけたものは多かった。
が、
それを、伊作は少しずつ返してきた。
きっとこれからも並んで一緒に歩いていくんだろう。
お互い、今以上にいろんなものをぶつけ合うことになっていくんだろう…。
ふと、留三郎はあることに気が付いた。
…まだ、尻を丸出しにしていることに。
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