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《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。 スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすら妄想ですが、雷蔵の過去捏造・竹谷の実家設定捏造などがあります。 特に雷蔵の回想部分は、いじめに近い表現があり、人によっては気分を害するかもしれません。 また、それに対する先輩たちのアドバイスがありますが、あくまで個人的な意見ですので、この主張が正しいというわけではありません。
中二病的発言もありますが、それは華麗にスルーしてください。お願いです。 もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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三郎「…結構買い込んだなぁ…。中在家先輩に怒られないか?」
思ったより大きな荷物を持った雷蔵を、呆れたように三郎が見つめる。
雷蔵「そんなことないよ。蔵書用の紙はいくらあっても足りないからね。
古い本はどんどん写本して行かないと、虫が食ってわかんなくなっちゃうから。
それに、保管や管理の予算は学園長先生が別口にしてくれてるし。
なにしろ、知識や文献を残しておきたいと思ってるのは、他ならぬ学園町先生だしね。」
三郎「ふ~ん…。
いつもは『おやつ買ってこい』だの『突然の思いつき』だの、とぼけた爺さんしてるけど…
喰えないよな~。なんだかんだ言って、とんでもなくすごい人なんだからさ。」
雷蔵「そりゃそうだよ。往年の天才忍者なんだからさ。」
笑いながら、帰り道をゆく。
1年生の3人組は、来た時と同じように元気に歌いながら歩いている。
のどかな夕暮れが近づいていた。
…ふと、その穏やかな空気を濁す気配が感じられた。
同じ顔が、同時に振り向いた先には…
だらしなく、着物を着崩した浮浪人がいた。
一見して、怠惰な毎日を過ごしていると分かるような、酒太りした体と土気色の顔。
だが、その顔にどこか見覚えがある。
「よぉ…久しぶりだなぁ。買い物の帰りかい?」
間違いない…
――お前みたいなとろい奴、他の奴にムカつかれてると自分で思わねえのか?
特に三郎なんか頭いいんだから、一応学級委員だからってお前と仲良くなんかしてても、腹ん中じゃどう思ってるかわかんないぜ
――三郎はお前なんかと違う!!
お前に何が言える!!
あの時の同級生だ。
あの後、こいつだけは先生に怒られても一人だけふてくされていた。
結局謝るわけでもなく、バツが悪そうに僕や三郎たちを避け、
いつの間にか話すこともなくなった…。
いつ学園を辞めたのか…確か怠け癖がたたって進級試験に合格できず、
そのまま去ったはずだ。――
その後、彼がどう歩んできたのかはわからないが、
ろくな時間の過ごし方ではないようだ…。
不健康な見た目もそうだが、だるそうなふてぶてしい態度から、
あのふてくされた子供のまま、図体だけぶよぶよと膨らんだようだ。
――嫌な感じがする。
殺気ではないが、ねばねばしたような気味の悪さがある。
再会したという点では同じだが、紙屋の同級生とは全く違う。
ただ、懐かしさから声をかけたわけではないことはよく分かる。
なにがしたいのか分からない。2人とも黙って相手の出方を見ていた。
雷蔵「…。」
三郎「…。」
2人の向ける視線も気にするわけでもなく、相手は
にやにや笑いながらこう切り出した。
「2人とも就職は決まったか?
決まった時には俺にも連絡先教えてくれよ。」
雷蔵「…は?」
三郎「なんでだよ。」
思いがけない問いに、気が抜ける雷蔵。
すかさず三郎がきつい声で答える。
「いや、同じ職場になるかもしれないしな…それに同じ忍者なら同業者だし、何かと付き合いもあるかもしれないし…。
三郎「無いな。」
雷蔵「無いね…。」
歯切れの悪い話を、2人分の冷たい否定の言葉でバッサリと断ち切られた。
当たり前だ、忍術学園すら卒業できなかった者がプロの忍者になれるわけがない。
いたとしても相当な才能と努力を積んだ者だ。
ましてや、目の前にいる浮浪者では話にならない。
はっきり否定され、気分を害したのか、
相手はいらいらとした口調で話し出した。
「いいじゃねぇか!学園に残っている分、お前たちの方がいい職につける可能性が高いんだからさ、
ちゃんと学園にいられるんだから、お前たちの方が恵まれてるだろ?
こっちは退学させられるわ、働けば客や番頭にあれこれ言われるわ、それで頭にきて辞めて帰ったら、
今度は親にまで縁切られちまった。
こっちは毎日暮らすのも大変なんだよ!
そういう奴を見て見ぬ振りするのが、忍術学園の学生か?
お前たち、今でも先生から人の役に立てって言われてるだろ?
しかも後輩の前でさ、どうだよ?何とも思わないのか!?」
――それが本音か…。
雷蔵は情けなくなってため息が出た。
自分たちに声をかけたのは、自分たちが良く見えただけ。
きっぱりとはねつけられたことで、羨ましさが妬ましさに変わったようだ。
――情けない…。
相手は、雷蔵たちに呆れられているともわからず、ぐちぐちとしつこく話し続けている。
あきれ果て、何言ってんだこいつ…とつぶやく三郎に、雷蔵が素早く目くばせする。
阿吽の呼吸の相棒は、瞬時に意をくみ取り、
さっとその場から1年生を遠ざけた。
1年生が離れたのを見計らって、雷蔵は向き直り、
能面のような、表情のない顔で口を開く。
雷蔵「…自分は頑張ってきた、真面目にやってきたら、何をしてもいいのかい?
頑張ってきたのは僕も同じさ。でも何をしていいとは思っていない。
他の人に迷惑かけるようなことはね…。
君は結局、僕たちに対して何もけじめをつけていない。
元の級友ですらない。ただ昔知っていただけの人だ。
…そのことが…その歳になってわからないなんて、
君はよっぽど人を大事に思うことができない人間のようだね…。」
言われた相手は…
ただポカンとした顔になった。
「…は?何言ってんだ?
意味が分かんねぇよ。
けじめってのもなんのことだ?
別に何が迷惑ってわけでもないだろ?
むしろ困ってんのはこっちなんだから。
それを迷惑呼ばわりして、他人のふりって何様だよ!?
なに昔のこと根に持ってんのか知らねーけど…」
全く話はかみ合わない。
雷蔵は冷たい視線を向けながら、
ふぅん…と素っ気ない返事をする。
そして、
こう言い捨てた。
雷蔵「思った通りのゲス野郎で良かったよ。
これで僕の人生から君のことを消してやれる。
僕の人生の中で、君の生きた証などないように、きれいさっぱりとね…。
昔の仕返しというなら…これが僕の仕返しだよ。」
「…っ!!」
雷蔵「努力せず、自立しようとしない人間に施しするほど、僕はお人好しじゃあないよ。
文句があるなら、自分自身に言うことだね…。
困難に目を背けて、面倒なことから逃げて逃げて…
逃げて続けて何かあったかい?
…これからも際限なく逃げ続ければいいさ…。
…さようなら。」
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あれから、2年と少しが過ぎた。
彼らは背ものび、精神も磨かれ、大人へと次第に近づいていた。
昔の面影は残ってものの、後輩たちに慕われ尊敬される先輩へと成長した。
そして、この2年の間に様々な事情により同級生は一人、また一人と減っていった。
あるものは家業を継ぐために、そしてあるものは学業のレベルに追い付かないために…。
「死」という最悪の事態で去って行ったものがいないことが、木下先生の自慢であり、
唯一の救いだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そんなある日、雷蔵は学園長のお使いを頼まれた。
乱・きり・しんも用事があるとのことだったので、付添もかねて、みんなで街へ繰り出していた。
もちろん三郎も一緒である。
外出するのが久しぶりだったためか、もの珍しそうに、あちこちの店に目を輝かせる後輩たち。
買い食いしようとするのをやんわりと止めたりと、世話を焼きながら、目的の店へと向かっていった。
隣では三郎が、今年入った後輩達のかわいらしさと賢さをしきりに語っていた。
すると、不意に呼び止める声がした。
「雷蔵!三郎!」
雷蔵「?」
三郎「…?」
声を掻けた主は、かつての同級生だった。
雷蔵はもちろん覚えている。
腹いせ紛れに作兵衛を長った生徒だ。
あれから、彼はきちんと反省し、雷蔵や作兵衛に謝り、
同じ忍たまとして、切磋琢磨する仲間の一人となった。
そして4年生を終え5年生に上がる際に、家業を継ぐということで、学園を離れた。
今は、実家の老舗の紙屋で商いに専念している。
商売も板についてきたようで、きびきびと働いていると聞いていた。
そんな彼は、懐かしさでいっぱいといった笑顔を向けて、かつての級友2人に両手を振っている。
「久しぶりだなぁ!!今日はどうしたの?みんなで買い物かい?」
雷蔵「うん、学園長のお使いでね。」
「そうか~!うれしいなぁ、本当に久しぶりだ!!」
まるで子犬のようにはしゃいでいる。
ひととおり再会を喜んだあと、雷蔵と三郎の後ろの3人に気が付いた。
「ん?そっちの3人は?
今年の1年生かい?」
問われるように見つめられた3人が、いつものように元気よく挨拶する。
雷蔵「うん、今年の1年は組の子だよ。
今年のは組はね~…すごいよ。
忍術学園で起きるトラブルの九割が、1年は組か小松田さんが原因だなんて言われてるくらいだからね。
とにかく個性的な子の集まりでさ、だから付添もかねて一緒にきたんだ。」
「なるほどね。
どおりで、さっきから賑やかな声がするわけだ。
なんか聞き覚えがあると思って耳を澄ませたら、『四方八方~♪』って聞こえたからさ、
もしやと思ったら…当たりだったね。」
これを聞き、雷蔵は少し驚いた顔をした。
――この3人が元気よく歌いながら歩いてきたのは、街の入り口まで…。
家業に専念したとはいえ、学園で学んだことはしっかりと身についているんだね…。――
雷蔵が感心しつつ、考えを巡らせていると、
目の前の元・忍たまは、商人らしくお勧めの品を取り出し、目の前に広げだした。
「それはそうと、これ買っていかないか?
どうだい?けっこう良い和紙だろう?見た目もきれいだけど、質もいい。保存には最適さ。
雷蔵は運がいいよ!さっき届いたばかりでさ、君が一番初めのお客さんだよ。
写本用にも、図書委員の本の修復作業にも、うってつけの材質だと思うんだ。
お安くしとくよ。今日は再会記念日だからね!」
そう言いながら、にかっと明るい笑顔を向けられると、なんだか憎めないものだ。
かなわないなといったように、雷蔵も苦笑してそれに応える。
雷蔵「すっかり商売上手になったもんだねぇ。
これじゃ、さすがの僕でも迷えないよ。」
「迷う要素ないだろう?
親父にも一目置かれるこの目利きが選んだんだからさ!
そんで、特別サービスのこのお値段!
さて、あとはどこに悩むんだい??」
雷蔵「う~ん…僕は買いたいけど…。
でもいいのかい?お得意さんにお城の関係者もいるんだろう?」
「なに、結局は忍術学園の関係者が一番のお得意さんさ。
それに、一番使ってもらう機会が多いほど、人の役に立つんだ。
それが商売人冥利に尽きるってもんさ。」
そこまで言った彼は、ちょっとあたりを見回し、声をひそめた。
「…これは俺の愚痴だけどな、
お城に献上しても、密書なんかに使われたらって考えると…な…
こんなに良いもの使ってても、すぐに燃やされたんじゃ、一生懸命仕入れた方はたまったものじゃないし、
それなら、忍術学園の図書室の本になったほうがマシだね。」
雷蔵「…。」
「忍術学園の図書室の蔵書なら、戦に巻き込まれて焼かれる確率も低いだろうし、
たくさんの子の手習いや読書の勉強にもなる。
ひいては、子供は将来の財産だ。
俺もゆくゆくは自分の子供を通わせたい学校だしな。
手習いレベルぐらいまではしっかり学ばせたいと思ってるよ。」
雷蔵「…ゆくゆくは君の子供が読むとなれば…そりゃ、買わないわけにはいかないね…。」
ずいぶん気の早い話だけど、
そう言いながら、雷蔵は懐の財布と相談を始めた。
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《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。 スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
内容はひたすら妄想ですが、雷蔵の過去捏造・竹谷の実家設定捏造などがあります。 特に雷蔵の回想部分は、いじめに近い表現があり、人によっては気分を害するかもしれません。 また、それに対する先輩たちのアドバイスがありますが、あくまで個人的な意見ですので、この主張が正しいというわけではありません。
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日も傾いてきた放課後。
各委員会の活動が始まりだす。
留三郎は用具倉庫の前で、腕組みをしながら険しい顔をしていた。
留三郎「…来たか。」
留三郎が待っていた者。
それは、先日作兵衛に手をあげ、力任せに殴った3年生だ。
本人も、十分心当たりがあるようで、静かに留三郎の前に歩いてくる。
「…。」
目の前にうなだれながら次の言葉を待っている後輩を見つめ、留三郎は静かに切り出した。
留三郎「…己の何が悪いか。やっと認められたようだな…。
お前には、委員会の活動に入ってもらう前に、やらなきゃならないこととがある。
それは分かっているな。」
「はい…。」
留三郎「なら、その責めをきっちり果たしてくることだ。
果たさないうちは、委員会の活動はさせられない。」
「はい!」
決意したように顔をあげ、はっきり返事をした彼は、
作兵衛が作業をしているだろうもとへ、まっすぐ走って行った。
伊作「ずいぶん素直になったようだね。よかったじゃないか。」
後ろの茂みから、留三郎と同室の伊作がそろそろと姿を現した。
どうやら、彼も彼なりの心配から様子を見に来ていたようだ。
その心は…まっすぐに「どうして――!?」と疑問を投げかけてきた後輩に答えた自分の言葉が、偽りであったとは思いたくない、
そう願う気持ちからに違いない。
留三郎「あぁ…俺もあのまま腐ったような奴だったら、見捨てようかと考えていたところだが…。まだ救いはあったようだな。
あいつは…伊作、お前に救われたようなもんだ。」
ほっとした表情で微笑みかけてくる優しい級友。
その顔を感心するように、留三郎は見つめた。
本当は、ずいぶん前から留三郎は例の三年生に対して、すでに見限ろうと考えていた。
しかし、そこに待ったをかけたのは、他でもない伊作だった。
「間違いに気づく機会が多ければ多いほどいい―――」
「しかし、その間違いに気づかず、目をそむけるようなら―――」
この優しい級友に諭された時のことを思い出しながら、
例の三年生が向かっていった先に目を移した。
庭の端で修理を始めている作兵衛に、何かしら話しかけている。
ここからでは会話は聞こえないが、しきりに頭を下げている様子から、自分の非を謝罪しているのだろう。
後輩に対する真剣な態度に、留三郎は、ほっと言いようのない安堵感を感じた。
留三郎(…そんな奴じゃあなかったんだな、お前は。)
…良かった。
留三郎は心底そう思った。
そしてやっと話がついたのか、荷物を半分こしてやってくる2人の後輩を眺めていた。
その顔に、卑屈な影はもう見られない。
留三郎「もう、同じ間違いはしないな。」
その問いに、罰の悪そうに頭を掻きながら、彼はこう答えた。
「はい。
…僕が…間違ってました。
あの後、先生に怒られて…よく自分のしたことを反省したんです。
そしたら…なんか自分が情けなくなって、とことん恥ずかしくなってきました。
もう、同じことをするのは嫌です。
自分が…自分を絶対に許さないと思います。」
留三郎「そうか…きっとだな。俺はそう信じるぞ。」
「はい!!」
(こいつはもう、同じ間違いはしないだろう…俺はそう信じる。)
一緒に作業を始めようとする後輩の背中を見ながら、
この2人が、いつまでも道を誤らずに進んでいけることを、
留三郎は何かに祈った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
夜、四年長屋にまだ煌々と明かりのともる一室があった。
留三郎と伊作の部屋だ。
留三郎は縄をないながら、伊作は薬を煎じながら、今日の出来事についてぽつぽつと話し合っていた。
伊作「どうなることかと思ったけど…。無事、みんな良い方向にまとまってよかったね。
…うん、本当に良かった。みんな…自分のことから逃げずによく頑張ったよ…。」
留三郎「あぁ…俺も本当にほっとした。
自分のとこの後輩はもちろんだが…ほかの後輩だって、大事な忍術学園の生徒だ。
誰も、『根性腐ったような人間』の第一歩を踏み出さなくてよかったと思っている。
こういうちょっとしたことから逃げ続けていると、いつか本当に救いようのない人間になってしまうからな…。
…。
…人でありながら精神は畜生にも劣る奴は意外と多い。
俺は今年から忍務に出るようになって、つくづく思ったよ…。
夜盗や野武士…なんの信条もなく、ただ己の欲望のままに動くことを自分たちの中で勝手に正当化している奴ら…。
それを退治する忍務を何回かこなして…なぜこんな奴らが世の中にのさばり続けるのだろうと…ずっと考えていた。
そういうやつは、常に自分が食われるという恐怖を根底にした虚栄心がある。
自分より強い者にはこびへつらうが、弱い者にはここぞとばかりに付け込んで侮辱する。
一番手に負えないのは、無意識にそれを楽しみ、自分を正当化する奴だ。
そういう輩はこっちが怯えたり哀れみを乞うたりしたら、権利も人格も居場所さえもすべて根こそぎ奪って、心身ともに死ぬまで痛めつける。
…女子供といえど、そんな陋劣(ろうれつ)な心を持つ輩は鬼畜としか言いようがない。」
伊作「…。」
留三郎「そんな奴らは卑怯で小心者なくせに、常に自分より弱いものを物色している。
常に自分より弱い者・立場の低いものを見つけ、見下し、自分の力は上だと守っていかなければ、自尊心が保てないのだ。
それに!そんな奴はなぜか鼻が利く。ターゲットを見つけ出すのはなぜか天才的な感が備わっているとしか思えん!!」
怒りが込み上げてきたのか、縄をなう手つきが無意識に荒々しくなる。
それを静かに見つめながら、同室者は応えた。
伊作「それは、自分の生き方やプライドがかかっているからだよ。
そいつらの生き方やプライドなんて、自分勝手でちっぽけな、ちょっとしたことで吹き飛ぶようなちゃっちいものだけどさ、
それしかないからしがみつくのさ。そして、それを何としてでも大きく良く見せたいために、
自分の踏み台にできるような人を嗅ぎ出すのさ。その踏み台にされるのは、他でもない。
自分や家族や仲間のために、村のために、日々真面目に生きている者たちだ。
争いを好まない、皆で協力して生活の糧を得ることを第一に考える人たちだ。
その人々がそんな独りよがりなエゴの犠牲になっていいはずがない。」
留三郎「その通りだ。生き方やそいつの力量はそれぞれだが…。
だからと言って、他人を陥れること、他人の『あるべき権利を力づくで奪うこと』は決して許されない。
意見の対立や、人とぶつかることも数限りなくあるが、自分のエゴだけで主張を押し通してはいけない。暴力をもってしてなん
てもってのほかだ。それが腕力であろうと、言葉の暴力だろうと同じことだ。
…力で介入するのは、最後の手段だ。少なくとも俺はそう思っている。
それを日常的に、おもちゃのように振り回して、周囲に恐怖を与えて支配するなど…。
力は利己的な人間が持つべきものではない。
力を持てる者は、正しい心も持つべきだ。」
薬を煎じる鍋を見つめ、静かにうなずきながら、
伊作もまた、とつとつと自分の考えを述べていく。
伊作「何が正しいかは、僕たちも偉そうなことは言えないけれどね…。
でも…この学園で教えられていることは、真理に近いと思えるよ。
人の世界で、人と人がエゴで争うことほど、無益なことはない。
どちらにも言い分があって、難しい問題は山積みされているけれども…
それでも人の権利を勝手に踏みにじることだけは…一番やってはいけないことだ。」
静かに述べる意見に、留三郎は同意するように深くうなずく。
そしてまっすぐ伊作を見た。
留三郎「だからこそ、そんな奴を出さないよう、俺たちはしっかりと学び、手本になり、指導をする必要があるんだ。
今は罰を下すのは先生方だが…今はそれでいいが…。
これが世の中に出たらもうそんな「罰」じゃあすまなくなる。
そんな奴をここから世の中に出したくはない。誰一人として…。」
ちらと留三郎を見やり、また鍋に視線を移す。
そして独り言のように、伊作はつぶやいた。
伊作「本当に…誰一人…いないといいけどね…。」
静かな闇の中、コトコトと
鍋の煮える音だけが響いていた。
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三郎「……というわけで…。
さっきのはちょっとした冗談だったんだが…。」
雷蔵「…#」
三郎「ごめん…。」
いまだに憮然とした表情の雷蔵の前で、ひたすらわびる。
こうなると、三郎はとことん雷蔵に頭が上がらない。
話の結論として、三郎本人はスタンドではない。
三郎本人にはスタンド能力はあるが、
性質上、誰かと一緒でないと発動しない。
それは三郎の本人の心に起因することなのだが…。
とりあえず、米つきバッタのように平謝りする三郎。
後にも先にも、こんな光景は見たことがない。
三郎「ちょっと早いエイプリル・フールということで…
勘弁してはもらえませんでしょうか?」
雷蔵「時と場合によって、言っていいことと悪いことがあるよ!!
あ~びっくりした。
縮んだ僕の寿命、返してもらえる!?」
…。
(なんだ、雷蔵に寿命をくれてやるくらいなら、お安い御用だ。)
三郎は、まだぷーっと怒ってる顔の雷蔵を見ながら、
少し安堵した笑みを浮かべた。
(こうは言っているが、雷蔵は自分の冗談を理解してくれたようだな…。)
三郎は達の悪いいたずらや冗談を繰り返している分、
その受け入れられることがいかに、難しいかをよく知っていた。
(親しい友人相手でも、本当のことを話すのには勇気がいる。
例えそれが、相手を楽しませようとした心から出た冗談であってもだ。)
相手がその冗談を自分の予想どうりに受け取ってくれた時はいいが…。
誤解を招いたときや不用意に傷つけてしまったときにはすぐ訂正しなければ、
そのヒビは次第に広がり、亀裂になっていく。
特に、この優しく思いやりのある友人との間には、少しのズレも作りたくはなかった。
たとえボタンの掛け違い程度の擦れ違いでも、万が一、それがその後の両者の進む道を分けてしまう原因になる可能性が1%でもある限り、
早めに掛け直しておきたかった。
それが、そのときは怒られ、呆れられたとしてもだ。
――― 雷蔵にだけは、私は正直でありたい。
あの時、三郎は雷蔵のためにスタンド・レッド・フォックスを使った。
そのレッド・フォックスが化けたのは…
火薬のプロフェッショナル・立花仙蔵。
怪我や致命傷になるほどではないが、お灸をすえるぐらいの絶妙な程度で火薬を扱えるのはこの人ぐらいだ。
それに…
あの時、三郎にその行動を起こさせたのは、他ならぬ雷蔵だ。
雷蔵は、あの瞬間、自分の心をはっきりと決めた。
(僕は…自分より強い力が怖い。悪い力が怖い。
でも一番怖いのは、その力に理不尽に屈してしまうことだ。
僕は、僕の大切な人たちの心をがっかりさせたくない、優しい人たちの心に無力感を感じさせたくない。
それには、理不尽な暴力に立ち向かう力と勇気がいる!!
僕は…最期の最期までだって、『優しい人間』でありたい!!)
言葉で考えていなくとも、その思いが怒りから痛いほど伝わってきた。
そして何より、雷蔵のその決心が、三郎にも大きな決断をさせた。
以前から、三郎は自分の能力を自分が納得できる人間とともに生きることに使いたいと考えていた。
それは、力が強いとか、そういうことではない。
強く優しい、人としての美しさ・人だからこその優しさを持った人間と共に生きたいと願っていた。
そして、それが雷蔵だと、今日はっきりと決めたのであった。
黙って自分の様子をうかがう三郎に、もう気が済んだのか、雷蔵はほっと息を吐いて静かに話し出した。
雷蔵「…本当はね…2人に助けてもらいたいなんて思っていたんだ…。
八左ヱ門と三郎に。
でもそれじゃ、これからも2人の影に隠れながら、様子をこっそりとうかがうような自分になってしまう。
そのことに…やっと気づいたんだ…。
自分の力で何とかしなければ…でもそう思っても、なかなか勇気が出なかったよ。
…きっと、僕の友達が八左ヱ門だけだったら、僕は守られることに甘えてしまっていたと思う。
三郎のように、僕の行動を見守りながら、ずっと信じてくれる人に気づくことも必要だったんだ…。
信じる心に甘えて、がっかりさせたり、僕と同じ無力感を味あわせてはいけない。
そうならないためには、僕自身の『正しいと思う姿』を決めることが必要だったんだ。
…長く…本当に長く、僕の成長を見守っていてくれたね。
ありがとう、三郎。」
静かに手を取る雷蔵。
その手をぎゅっと包むように、三郎は握り返した。
三郎「雷蔵、私はずぅっっっと君を見てきた。
私が思った通り、君は優しい、心の正しい人間だよ。
けどね、私と一緒にこれから歩いていくには、勇気が足りなかったんだ。今の今までね。
でも、君は自分の正義を、守るべきものをきちんと守る勇気を持てた。
これからは、もっと近くで、君と並んで歩んでいきたいんだ。」
静かにうなずく、同じ瞳。
もう迷いはない。
三郎「君が守るものを、私も守る。
君の正義に、私は共に在ろう。
不破雷蔵あるところに、鉢屋三郎はいるんだ。」
その日から、彼らは互いに互いを相棒として認め合い、共に長い道のりを、同じ荷をおうように歩き出した。
対等な力でぶつかったり支え合ったりしていく中で、次第に内面や信念・意思も互いに認めていくことになる。
のちに、彼らは『双忍』と呼ばれるようになるのだが…。
それにはもう少し、ゆっくり、
2人並んで歩いていく時間が必要となる。
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《以下の文章は、『忍たまたちがもし、スタンドを使えたら』ということを前提に書かれた妄想文です。 スタンドを知らない方は「ジョジョ スタンド」でググってみてください。
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中二病的発言もありますが、それは華麗にスルーしてください。お願いです。 もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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ごぉぉぉっっっ!!!!!!
焦げた。見事に焦げた。
真っ赤な炎が一瞬に来て去り、
あたりには真っ黒で、黒い煙がもくもくと漂っている。
雷蔵(???)
いったい何が起こったかわからない。
目の前にいた同級生たちは真っ黒になって気絶している。
自分は…無傷だ…。
三郎「心配ないよ。見た目は派手だけど、誰も死んでない。
火傷してたとしてもそんなひどくない。すすがいっぱいついてるだけさ。」
いつの間にか、横にいたのは…。
雷蔵「!!」
三郎「雷蔵、よく頑張ったね。
よく耐えて…よく勇気を出したと思うよ。」
が、当の雷蔵は真っ黒になった目の前の状況を心配していた。
雷蔵「…さ、さぶろう…?これ…大丈夫なの…?」
三郎「大丈夫だよ。誰も大きな怪我しちゃいないって。
大体、許しておくわけにもいかなかっただろう?
私もナメたこと言われて、個人的に許せなかったからな。」
そうだ…。
こいつらは自分にも、作兵衛にも謝らなかった。
挙句、みな言い逃れしようとし、
1人は三郎まで侮辱した。
三郎「…余計なことしたかな…。」
三郎が珍しく不安げな目で様子をうかがっている。
その表情に、雷蔵は穏やかだが、毅然とした声で答えた。
雷蔵「いや、三郎が来なかったら、僕が思いっきり殴ってたよ。
それぐらい、許せなかった。
言いたいことは言ったし、これで先生に怒られたとしても、何の後悔もないよ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
それから、いろいろ大変だった。
その直後、騒ぎを聞きつけた先生方が駆けつけ、
案の定、2人は同級生たちと一緒に先生に注意を受けた。
しかし、事前に作兵衛の件が留三郎から伝わっていたらしく、雷蔵と三郎はその時の喧嘩について注意を受けたのみでそれ以上のお咎めはなかった。
反対に、同級生たちはさらにお説教を喰らうとみえ、その場に残るよう言い渡された。
職員室から、一足先に解放された雷蔵と三郎。
並んで廊下を歩く。
やっと緊張感から解放され、全身の力が抜ける。
今日は朝から同級生に話をつけると決心していたこともあり、力みっぱなしだった。
そういえば…。
ほっとしたと同時に、疑問がわいた。
雷蔵は歩きながら、隣の三郎に声をかけた。
雷蔵「そういえば、さっきのあの炎、どうやって出したの?
かなり大きな炎だったけど…。
立花先輩だったらともかく、僕らには扱いきれないような技だったじゃないか。
またどんな仕掛け作ったのさ?」
三郎「それは、私自身の能力だよ。
種も仕掛けもないさ。」
雷蔵「へっ??
あれが??」
三郎「うん。
それより雷蔵、君に良い知らせがあるんだ。」
雷蔵「? なに??」
ぴょんと、三郎は雷蔵の前にたち、
いたずらっぽく、
にっこりと笑いながら、
こう告げた。
三郎「おめでとう、雷蔵。
今日から君もスタンド使いだ。」
雷蔵「えっ?」
三郎「実は私はスタンドだ。
雷蔵、君のね。」
スタンド――?
中在家先輩のゴールデン・リヴァーが思い出された。
あんなものが自分にもあったのか?
しかも…三郎が??
いや、ちょっとまて。
あまりにも突飛すぎだろう。
それに理解が追い付かない。
それとも三郎お得意のたちの悪い冗談か?
いや、それにしちゃ冗談が過ぎる…。
ぐるぐると考えが頭をめぐる。
雷蔵は硬直したまま、自分と同じ顔を見つめた。
雷蔵「…。」
三郎「……。」
くるっ
急に回れ右する雷蔵。
雷蔵「………。
…部屋帰って寝よう…。」
三郎「…。
寝て起きても、夢じゃないよ…。」
振り返り、また無言で同じ顔を見つめる。
雷蔵「…。」
三郎「……。」
くるっ
また回れ右する雷蔵。
雷蔵「…じゃあ、医務室行ってくる…。」
三郎「まてまてまて!
新野先生も、幻覚じゃないって言うと思うよ!!
っていうか、そんなに嫌なのかい!?」
雷蔵「嫌だというより、理解がおっつかないよ!!
大体今まで友達として一緒にいた人が、実はスタンドでしたなんて!!
突飛すぎるだろ!?」
三郎「そんなこと言ったら、食満先輩なんかどうなるのさ。
『メンコイ・ヨーグ』だぜ?」
雷蔵「あぁ~…。
どこにいても、用具委員の後輩呼べるやつね…。
大体はおやつの時間に、作兵衛呼ぶのにしか使ってないみたいだけど…。
…って、そういう問題じゃない!!
あれさ!
これで!
それだよ!!
それでもって!!
…えぇ~とぉぉ…。」
忙しなく身振り手振りしながら、しゃべる雷蔵。
誰が見ても明らかに混乱していた。
そして、そんな友人を見た三郎は…。
珍しく自分の言動に素直に反省した。
三郎「…。
うん、ごめん。
ほんと、ごめん。
雷蔵、とりあえず、落ち着いて話そう…。」
あわあわし続ける雷蔵の手を引き、三郎は自分たちの長屋へ向かう。
ただでさえ迷い癖のある友人の思考回路をショートさせるには、十分すぎる一言だったらしい。
…この分じゃ、落ち着くまでしばらくかかりそうだ…。
雷蔵に対して、不用意な発言には気を付けようと、
つくづく身に染みて思った三郎であった。
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