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《以下の文章は、成長金吾と喜三太の妄想文です。 内容はひたすら妄想ですが、金吾と喜三太の実家設定捏造などがあります。オリキャラ満載です。
中二病的発言は、華麗にスルーしてください。お願いです。
もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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「「「ご帰還、おめでとうございます」」」
大広間に腹の底に響くような野太い波が広がる。
その祝いの声を受ける上座には壮年の武将が、
その隣には、まだ少年の持影が残る若武者。
まっすぐな目の光が、外の若葉の季節に健やかに育った若木を思わせる
忍術学園を卒業した皆本家嫡男・金吾が、
本日、晴れて次期当主として、正式に家臣たちの前で紹介された。
「いや、めでたい!これで皆本家も安泰じゃ。」
我らが若殿が帰還したこともそうだが、
新緑のようなすがすがしい若さにあふれている姿に、さらに家臣たちの喜びはひとしおだ。
「皆本家の家督を継がれる日を考えると、今から楽しみじゃ。」
「その折には殿にあやかり、我が家も倅に代を譲ろうかと考えておりまする。」
「なんと気の早い!」
「そのようなことはない。これからは若の時代じゃ。
若のお役に立てる若い者を育てることが年寄りの務めと心得ておる。
お主も五十路過ぎたろうに。いつまでも息子を待たせず、そろそろ家督を譲ってはどうじゃ?」
「何の!まだまだ儂は現役じゃ!
うちの青二才では心許ない!」
「何をご謙遜を。すでに家中の一員となり、立派に手柄を立てておるではないか。」
「まあまあ。
家中の若返りは良いこと。
これからは若い者に任せることになるじゃろう。
儂ら年寄りは、暴走せぬよう手綱を引き締めるとするかの。」
口々に、喜びの気持ちを表している。
未来への希望にあふれる家中の中へ、主君・武衛の重厚な声が広がる。
「みなのもの。金吾じゃ。」
「学業は収めたと言っても、まだまだ若い。
これから儂の嫡男として、皆よしなに頼むぞ。」
ははっ!と短く、はっきり答え、
家臣一同は平伏した。
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「おめでとう~金吾~。」
家臣へのあいさつが一通り終わり、劇中のような雰囲気から解放され自室で一息ついていた金吾に、
不意に底抜けに明るい声が降ってくる。
「ありがとう、喜三太。」
縁側からひょっこりと顔を出したのは、ずっと同室でともに学んできた喜三太。
相模に帰り、『若様』となった今でも何も変わらず接してくれる。
その気持ちを知ってから知らずか、気軽に縁側に胡坐をかき、にこにこと話を続ける。
「嬉しいな~。卒業してからも、これから毎日金吾と一緒にいられるんだもの。」
「僕も喜三太がそばにいてくれると思うと心強いよ。」
「ねえ、皆本家の家来の人たちはどうだった?
強そう?優しそう?
それとも学園長みたいな元気なおじいちゃんたち?」
「…う~ん…おじいちゃんではないけど、みんなおじさんかなぁ?
ぼくをみて、とっても喜んでいたよ。」
「そうか~
まあそりゃ~そうだよ!『若様』がやっと帰ってきたんだもん!」
まだ幼さの残る少年たちの耳に、渡り廊下に響くどっしりした足音が聞こえてきた。
「おぉ、喜三太も一緒か。」
「父上!」
「殿様!!」
当主の武衛が訪ねてきた。
金吾は即座に座敷に戻り、父に上座をすすめ、
喜三太は縁側から庭に下り、頭を下げ立ち膝で控えている。
2人の動きを見、うむ…と少し考えた等に一息ついてから、
勧められた上座の座布団の上に腰を下ろした。
すでに気の利く息子は手を打って下女を呼び、麦湯の用意を言いつけていた。
「よいよい、一通り家中へのあいさつも終わった。
しばらくは、格式ばったお披露目もないだろうが、
これからは、皆本家の嫡男としての教育が始まる。
武家と言っても、剣の修行ばかりというわけにはいかなくなるぞ。
1年ほどは、慈海(じかい)禅師のもとで帝王学を学んで参れ。
…時期を見て、初陣の準備もせねばなるまい。」
麦湯の入った茶碗を何の気なしにさすりながら、息子たちというより、自分に言い聞かせるようにつぶやいている。
一口湯を含んだかと思えば、ふむ…と虚空に顔を向けたまま目をつむっている。
なにか考えているようだった。
そして急に縁側へ顔を向けた。
「喜三太。」
「はっ?はいっ!!」
急に自分の名を呼ばれ、びっくりした喜三太が顔をあげる。
ぱっと紅くなった額や頬には、あどけない素直さが残っている。
――これからどんな家臣になるだろうか――
武衛にとっては、息子とともに不安でもあり、楽しみの種であった。
優秀な忍びとなってくれるのは嬉しいが、この素直さが隠れてしまうのも惜しかった。
「喜三太、お前も金吾とともに学んだ仲。
これからは、家中の忍びとして、金吾の手足となってくれよ。」
「合点承知の助!
僕も金吾と一緒に頑張ります!」
屈託のない声と満面の笑み。
ーーまずはこれで良い。
目線を手元の湯のみに移し、武衛は静かに残りの麦湯を飲み干した。
大人たちの思惑をよそに、木漏れ日の祝福を浴びて、ただまっすぐに光に向いて伸びている。
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