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《以下の文章は、成長金吾と喜三太の妄想文です。 内容はひたすら妄想ですが、金吾と喜三太の実家設定捏造などがあります。オリキャラ満載です。
中二病的発言は、華麗にスルーしてください。お願いです。
もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
…飽きちゃった。」
「これ喜三太、危ないですよ。」
縁側から地面へ、細身の少年が溶けたようにだらんと寝そべっている。
たすき掛けをした慈恵が、作業をしながら困ったようにそれを眺めている。
「だって慈恵様、毎日毎日慈海様の授業に掃除洗濯、野良仕事。
炊事までやるなんて。
6日に1日ぐらいはお休みが欲しいですよ~。」
「うちの寺は家事をしてくれるものがいないから。
自分のことは自分でするんですよ。」
「慈海様は~?」
「お師匠様はお年ですから。
でも炊事はみんなと一緒にやっているでしょう?」
「金吾は~?」
「金吾はお前と受ける授業のほかに、大名として必要なことを学んでますから。
兵法から皆本家の系図に歴史書、
和歌、連歌、茶の湯、香、能に幸若、小鼓、笛、尺八…」
「あぁぁ~もういいです!もういいです!
聞くだけで頭が痛い~!」
「本来なら何年もかけて学ぶものですが…
金吾は帰ってきてから詰め込み教育ですからね。
もうしばらくは毎日こもりっきりですよ。
…おや噂をすれば…」
奥の部屋からふらふらと歩いてくるのは、話題の中心の金吾その人だ。
小袖に袴の普段着でいる姿は、家臣たちの前で帰還ののあいさつをした日と比べると、
屈託のない15歳の少年そのものだ。
「づ…づがれだぁーー…。」
「もう見るからにお疲れだね。金吾…。」
だらんと寝そべる喜三太の隣に、倒れ込むように金吾も転がる。
2人とも溶けたように動かない。
そんな2人と対照的に、慈恵は梅のヘタを一つ一つ手早くとっていく。
「ほらほら、2人とも。
今年は梅の実がこんなに取れましたからね。明日からは梅干しづくりです。」
「えぇ~~~~~梅干しぃ~~?」
「たまには肉が食べたいです、兄上~~!」
「鹿垣(ししがき)に猪でもはまってたら考えましょう。」
抗議する子供の声を、落ち着いた声がぴしゃりと抑える。
「春夏秋冬。竹を切ったり、松の皮を備蓄したり。
寺とはいえお経を読んでばかりいるんではないんですよ。
皆本家は武家ですからね。万が一の備えです。」
うにゃ~んと何とも言えない音をあげる弟たちをしり目に、てきぱきと梅の下ごしらえを進めていく。
「毎年毎年、焼酎で洗う役と塩揉みの役に、2人くらいお手伝いが欲しかったんですよ。」
にこっと満面の笑みを向けられる。
兄のこの笑顔には逆らえない。
しぶしぶお手伝いの覚悟を決める金吾と喜三太であった。
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「どうじゃな、今年の梅の出来は。」
「お師匠様」
不意に師のしわがれた声が上から降ってきたため、慈恵は手元から目をあげた。
金吾と喜三太は、夕食に使う野菜を取りに畑へ行っている。
「良いですよ。今年は喜三太がいてくれたので。実に傷が付かないよう木に登ってさっさと取ってきてくれましたよ。
身が軽いんでしょうね。」
「まだまだ勉学も奉公も、遊びの延長のようじゃな。
まあ元気でよろしい。」
「どうにもこうにも…小さい弟が2人も増えたようで」
そういう慈恵の顔は困ったような顔をしながらも、楽しんでいるようだ。
その間にも、畑から高い2つの声が聞こえてくる。
「まだ子供の気分が抜けないようじゃな。」
「それをいうなら、私も同じ年なのですよ。」
しわがれた声と、少し低く落ち着き始めた声が、
梅雨前の青い空に静かに溶けている。
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