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《以下の文章は、成長金吾と喜三太の妄想文です。 内容はひたすら妄想ですが、金吾と喜三太の実家設定捏造などがあります。オリキャラ満載です。
中二病的発言は、華麗にスルーしてください。お願いです。
もちろんご本家様とは何ら関係ないばかりか縁もゆかりもございません。そして時代考証など完全に無視しております。訴えないで☆》
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「日に日に暑くなりますなぁ、叔父上。」
久々に澄み切った空を眺めて、武衛は年老いた叔父に団扇で風を送っている。
幾日も続いた梅雨の雨が収まったとはいえ、今度は湿気が充満し、息苦しい。
本格的に夏の暑さが始まっているようだ。
「いや、暑さ寒さもこの老体にはこたえる。
とはいえ、殿直々に扇いでもらうなど、贅沢なことよ。」
そんな暑さの中でも、一家の長を迎えるには失礼があってはならんと、叔父の方は寝床から起き衣類を正している。
脇息にもたれかかりながらも、礼節を欠かぬよう気を張っているようだ。
「今は叔父孝行させてくだされ。
こんな時でもないと、水入らずでゆっくり語ることもありませんからな。」
そんな甥の声に、目を閉じ頷きながら老僧は耳を傾けている。
「金吾と慈恵の様子は、どうですかな?」
「やはりご兄弟ですな。
同じ屋根の元暮らせば、少しずつ心が通うようで…。
出来れば、子どものころから儂の手元で一緒に育てたかったと思うところもあるが…これはこれで。
それぞれに得手不得手があり、それぞれが利点でもある。
補いあえればと思うが、それにはまずお互いの信頼が必要じゃからな。
こればかりはもう少し時間が欲しい。
2人ともよい子じゃが、どうも聞き分けが良すぎるというか…
仲良うしてくれるのはいいが、ケンカもせぬようお互い意見をぶつけぬようで…。」
「何分、6年も離れて育ちましたからな…。」
「まあ、金吾は喜三太とは垣根のない仲のようじゃ。
もともと大人しすぎるのでなければ、そのうち兄とも遠慮なく話ができるようになろう。」
今度は甥の方が、目を閉じてうんうんと反芻すようにその言葉を聞いている。
まぶたの裏には、もう少し成長した息子たちの姿。
息子たちの後ろには、からりと晴れ渡った青空が輝いている。
不穏な雲もない、澄み切った光景だ。
――可能性。それだけが強く焼きついてくる。
「父上、おいででしたか!?」
不意にかけられた子供の声に気づき、目を開ける。
縁側に金吾がいた。
びっしょりと水にぬれ、髪からは絶えずしずくが落ちている。
眩しいような笑顔と、以前より肉付きの良くなった肩や腕。
濡れた着物を小脇に抱え、ふんどし一丁の姿を見ると、村の悪ガキとそう大差ない。
「なんだ。暑さに耐えかねて、川干しにでも行ってきたのか?」
「畑仕事の泥を落としに川へ行っておりました。
途中、喜三太に頭から水をかけられたので、僕もやり返しまして、水合戦に。
もうどうせびしょ濡れだから、かまわないだろうと…。」
そういうそばから、水合戦の火ぶたを切った張本人が帰ってきた。
こちらも立派な濡れねずみになっている。
もーっ!と不満げにこぼしているところを見ると、負けたのだろう。
金吾よりも幾分白い腕をぶんぶん振り回して、高い声で抗議している。
巻き添えになったのか、兄の慈恵までびしょぬれだ。
こちらは抗議する元気もないようで、ぐったりした顔で喜三太の後についている。
3匹の悪ガキたちの姿に苦笑する父。
それとは反対に、大叔父は少し考え込んだ後、おもむろに口を開いた。
「ちょうど良い。若よ、夕餉のあとに儂のもとに来い。
申し聞かせたいことがある。」
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